ドルコスト平均法とは?メリット・デメリットと一括投資との比較シミュレーション ソニー生命保険

ドルコスト平均法とは?メリット・デメリットと一括投資との比較シミュレーション   ソニー生命保険

長期的な資産形成に活用される投資方法に「ドルコスト平均法」があります。決まった金額を決まったタイミングで長期間投資することで、価格変動によるリスクを抑える効果が期待できます。この記事では、ドルコスト平均法の詳しい投資手法やメリット・デメリットを解説するとともに、具体的な例を用いて運用のシミュレーションも行っていきます。

長期的な資産形成に活用される投資方法に「ドルコスト平均法」があります。決まった金額を決まったタイミングで長期間投資することで、価格変動によるリスクを抑える効果が期待できます。この記事では、ドルコスト平均法の詳しい投資手法やメリット・デメリットを解説するとともに、具体的な例を用いて運用のシミュレーションも行っていきます。

公開日:2022年12月16日

ドルコスト平均法とは、投資にかかる時間と金額を分散する投資方法のことで、金額が変動する金融商品を「定額」「定期的」「長期的」に購入していく手法です。

一度にすべてを投資するわけではなく、資金を分割して定期的に投資することから「定額購入法」とも言われています。

投資金額を毎回定額にすることで、価格が低いときは購入口数が多くなり、反対に価格が高いときは購入口数が少なくなります。

たとえば、毎月1万円ずつ投資する場合、購入価格が500円の月は20口、1,000円の月は10口を購入することになります。

毎月定額購入すると、購入単価を平均化する効果が期待できます。そのため、一括投資(※)よりもドルコスト平均法のほうがリスクに強く、長期的な資産形成に適している投資方法だといえます。

※一括投資:ある時点において一括で金融商品を購入する投資方法。高い収益を期待できる一方、損失リスクも大きい。

ドルコスト平均法を利用する4つのメリット

ドルコスト平均法で投資をすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

損失リスクを軽減できることや少額投資が可能なことなど、主な4つのメリットについて解説します。

  • リスクを軽減できる
  • タイミングを選ばず始めやすい
  • 初心者でも挑戦しやすい
  • 少額から始められる

リスクを軽減できる

毎月一定金額を長期間に渡り投資すると、購入単価が平均化されるため、一括投資するよりも損失リスクを軽減できる可能性があります。

ドルコスト平均法では毎回の購入価格が決まっているため、価格が安いときは多くの口数が購入できますが、価格が高いときは購入口数が少なくなります。

一方、毎月決まった口数を購入するという投資方法の場合、価格が高いときも決めた口数を購入することになるため、その月の投資金額が大幅に上昇してしまうことになるのです。

ドルコスト平均法のように一定金額を長期間投資すると、価格変動の影響を受けづらく、一口当たりの購入単価が均一になり、時間経過によるリスク分散効果が期待できます。

タイミングを選ばず始めやすい

一括投資において大きな利益を得るためには、価格が安いときに購入し高いときに売却することがセオリーです。そのため、価格変動をよく観察し、売買のタイミングを見極める力が求められます。

ドルコスト平均法では購入単価が平均化されていくため、購入するタイミングを慎重に検討しなくて良いというメリットがあります。

思い立ったときに、いつからでも始めやすいという点は大きなメリットでしょう。

初心者でも挑戦しやすい

一括投資では、今後の価格変動を予想したうえで購入や売却のタイミングを判断する必要があります。一方、ドルコスト平均法は、取引開始時に自分で購入金額や購入期間を決めるため、初心者でも挑戦しやすい投資方法です。

投資開始時に毎月の投資金額や投資期間を決めれば、あとは自動的に買い付けを行うことができるので、株価の読みなど高度な知識やテクニックがなくても取引ができます。

売却するタイミングは自分で決めることができますが、いつ売却すれば利益が多く受け取れるのかの判断は難しいものです。

その場合は、ドルコスト平均法の考え方を売却時にも応用し、売却を複数回に分散して行うことで、平均売却価格を平均化することが可能となります。

少額から始められる

ドルコスト平均法は、毎月決められた金額を投資していく方法なので、投資を始めるにあたってまとまった資金を用意する必要がありません。

一括投資の場合は、投資を開始する際に投資金額の全額を用意しなくてはなりませんが、ドルコスト平均法は無理のない金額で少額から始められます。

たとえば、同じ100万円を投資する場合、一括投資では最初に100万円を用意する必要がありますが、ドルコスト平均法は1万円を100回、2万円を50回といったように分けて投資ができるということです。

→資産形成について詳しく知りたい方はこちら

ドルコスト平均法を利用する2つのデメリット

ドルコスト平均法にはさまざまなメリットがあることがわかりましたが、一方で手数料負担や投資期間について気を付けたいことがあります。

ドルコスト平均法をさらに効果的に活用できるように、2つのデメリットについても確認しておきましょう。

  • 手数料の負担が大きくなる可能性がある
  • 短期での投資にはあまり向いていない

手数料の負担が大きくなる可能性がある

定期的な購入を繰り返すドルコスト平均法では、取引の度に手数料が発生するため、投資期間が長期に及ぶほど手数料の支払い負担が大きくなる可能性があります。

一括投資であれば手数料は購入時の1回で済むため、総額で見るとドルコスト平均法の方が手数料が高額になるケースもありえます。

そのため、ドルコスト平均法で投資を行う場合は、販売手数料が低水準の金融商品を選ぶと良いでしょう。

短期での投資にはあまり向いていない

ドルコスト平均法は定期・分散・長期で購入することで、時間をかけて資産をふやしていく投資手法です。

そのため、資産が形成されるまでにはある程度の期間が必要となり、短期間で大きなリターンを得たい人にはあまり向いていない方法といえます。

一括投資であれば、価格の安いときにまとめて購入し値上がりのタイミングで売却すれば理論上大きなリターンを得られますが、ドルコスト平均法ではこのような資産のふやし方はできません。

今すぐに資産が欲しい方にはデメリットとなるでしょう。

ドルコスト平均法を利用した場合のシミュレーション

ドルコスト平均法を利用した場合のシミュレーションを見てみましょう。

同じ条件で、一括投資した場合の購入口数や購入金額総額も試算しているので、最終的に両者にどのような違いが出るのかも確認していきましょう。

ドルコスト平均法のシミュレーション

毎月1万円を10回積立投資するケースでシミュレーションします。

1口あたりの価格が下表のように推移した場合の購入口数を算出します。

購入回数 購入金額(a) 1口あたりの価格(b) 購入口数(a÷b)
1回目 10,000円 100円 100.0口
2回目 10,000円 90円 111.1口
3回目 10,000円 85円 117.6口
4回目 10,000円 70円 142.8口
5回目 10,000円 65円 153.8口
6回目 10,000円 80円 125.0口
7回目 10,000円 70円 142.8口
8回目 10,000円 60円 166.6口
9回目 10,000円 75円 133.3口
10回目 10,000円 80円 125.0口

※購入口数は小数点第二位以下切り捨て ※手数料等は考慮しない

たとえば、1回目の購入では1口当たりの価格が100円なので、購入金額10,000円で100口購入できます。また、8回目は1口当たりの価格が最安で60円であるため、10,000円で166.6口の購入が可能です。

このようにして、10回の投資で合計10万円を投資した結果、1,317.9口を購入できることになります。

ここで、10回の投資を終えた時点での損益を計算してみましょう。

10回投資時点の投資信託価額:1,317.9口×80円/口=105,432円 10回投資時点の合計投資額:10,000円×10回=100,000円 投資成果(損益):105,432円-100,000円=5,432円

ドルコスト平均法は長期投資が基本なので10回で投資を終了することは現実的ではありませんが、10回で終了したと仮定します。

10回投資時点の1口あたりの価格が80円で、合計1,317.9口購入したので、投資信託合計額は105,432円となります。

10回投資したときの合計投資額は100,000円なので、最終的な損益はプラス5,432円という結果です。

1口あたりの価格は最高100円から最低60円の間で変動しましたが、計算の結果5,432円の利益を出すことができました。

これは、価格の高いときに投資した分の値下がり分を、安い価格のときに投資した際の値上がり分で補うことができたためといえるでしょう。

一括投資をした場合のシミュレーション

ドルコスト平均法で投資を開始したタイミングで、一括投資をした場合も考えてみましょう。

投資金額100,000円で100円/口を購入するため、1,000口(100,000円÷100円/口)購入することができます。

ドルコスト平均法時の10回目で投資成果を見ると、1口あたり80円を1,000口保有しているため80,000円となり、この時点において20,000円の損失(100,000円-80,000円)が出たという結果となります。

ドルコスト平均法と一括投資の比較

それぞれのシミュレーションの結果から、ドルコスト平均法と一括投資を行った場合の保有口数と損益についてまとめてみましょう。

項目 ドルコスト平均法 一括投資
投資金額合計 10,000円
保有口数 1,317.9口 1,000口
投資成果(損益) + 5,432円 - 20,000円

ドルコスト平均法では1,371.9口購入できた一方で、一括購入の場合は1,000口の購入にとどまるため、結果としてドルコスト平均法の方がより多くの口数を購入できたことがわかります。

また、投資成果(損益)で比較すると、ドルコスト平均法では5,432円の利益が得られたのに対し、一括投資では20,000円の損失が出ました。

このように、売却時に価値が下がってしまっているという可能性は十分にあり得ますが、ドルコスト平均法を用いた分散投資(この場合は「時間の分散」)を行うことで、保有口数が増やせる場合があります。

そして、例示したシミュレーションでは、一括投資した場合より多くの口数を保有しているため、投資成果としてもプラスとなり、価格変動によって下落したとしても、損失リスクを抑えられるケースがあるのです。

※上記の説明におけるシミュレーションの値はあくまで参考値であり、実際の投資成果を保証するものではございません。 ※上記の説明は情報提供を目的としたものであり、ドルコスト平均法の成果や万能性を保証するものではありません。 ※上記の説明におけるシミュレーション結果は、手数料、税金等は考慮しておらず、実際の数値とは異なることがあります。

ドルコスト平均法を活用して上手に資産を形成しよう

ドルコスト平均法は、定額・分散・長期で運用を行うことで、価格の平均化により損失リスクを軽減しつつ、長期的な資産形成を目指す投資方法です。

短期での大きなリターンを期待することは難しいですが、少額投資が可能かつ専門的な投資の知識がなくても取り組めるため、まとまった資金がない人や投資初心者などにもおすすめの商品です。

老後の生活が不安な方や、将来に向けて資産形成をしておきたい人は、ドルコスト平均法を活用している投資信託を考えてみてもいいかもしれません。

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