株式移転計画書とは?記載事項や印紙税、注意点について解説|M&Aキャピタルパートナーズ
株式移転を行う際に欠かせない、株式移転計画書の作成における注意点を解説します。必須の記載事項、事前開示・共同作成の必要性など、株式移転を円滑に進めるためのポイントを紹介します。
株式の移転に関する重要事項を記載した、法律上必須となる書類を「株式移転計画書」といいます。会社法の規定により作成が義務付けられており、記載内容も定められています。 また、株式移転完全子会社の株主総会で、この計画書について承認を得ることが必要です。
株式移転計画書には、会社法で定められた「必須記載事項」と「任意記載事項」があります。それぞれの詳細を、順番に確認していきましょう。
2-1. 必ず記載すべき事項
実際に記載しなければならない基本的な内容は、下記のとおりです。いずれも、ビジネスを展開する企業や事業所にとって重要なことを含みますので、項目や書式に留意してください。
株式移転設立完全親会社に関する基本情報
株式移転計画書には、以下の記載が必要です。
- 新設会社の目的
- 商号
- 本店の所在地
- 発行可能株式総数
また、新設会社の定款に記載されている事項も明記しなければなりません。実際に、株式移転計画書を作成する場合には、定款記載事項を別紙へ記入する方法もあります。
株式移転設立完全親会社の取締役や会計参与・監査役等の氏名
会社法773条1項3号、4号の定めにより、新設会社の取締役や会計参与、監査役等の氏名を記載しなければなりません。 以下の条件にあてはまる新設会社は、対応する形で、それぞれの氏名を記します。
- 会計参与設置会社は「設立時の会計参与の氏名」
- 監査役設置会社は「設立時の監査役の氏名」
- 会計監査人設置会社は「設立時の会計監査人の氏名」
株式移転設立完全親会社の株式に関する事項
会社法773条1項5号により、株式移転計画書には「新設会社が発行した株式数、もしくはその数をどのように算定したかを記載しなければならない」ことが定められています。 また、新設会社の資本金と準備金についても記載が必要です。加えて、既存の株主に対する新株の割り当ても明記します。事前に作成した株主名簿に対応する形で、箇条書きで記入するのが一般的です。
株式移転設立完全親会社の社債に関する事項
新設会社が既存会社の株主が保有する株式を回収し、代わりに社債等を発行する場合には、以下の項目を記載します。
- 【社債を発行する場合】その内容と、各社債の金額の合計額(もしくは算定方法)
- 【新株予約権を発行する場合】その内容と数(もしくは算定方法)
- 【新株予約権付社債を発行する場合】その内容と数(もしくは算定方法)
株式と同様、社債に関しても、割り当てについて明記する必要があります。
新設会社の新株予約権に関する事項
既存会社の株主が新株予約権を持っていた場合、新設会社は、既存会社にかわる新株予約権を発行しなければなりません。 株式移転計画書では、新設会社が発行した新株予約権の詳細と、その割り当てについても記載する必要があります。
2-2. 任意で記載できる事項
株式移転計画書では、先述の必須記載事項以外にも、任意で記載できる項目があります。主な例は、以下のとおりです。
- 【会社の成立日に関する事項】株式移転は、完全親会社の設立登記の日において効力が発生。効力発生日の定めは設けられないが、任意で記載可能
- 【剰余金の配当に関する事項】株式移転後の剰余金の配当に対する方針や手続き
- 【会社財産の管理に関する事項】株式移転後の、会社財産の管理にまつわる方針や手続き
- 【完全親会社の株式上場に関する事項】株式移転後の、完全親会社の株式上場についての方針や手続き
これらは、株式移転計画書における任意的記載事項の一部です。具体的な記載内容は、各企業の状況や目的によって異なるため、専門家と相談しながら、適切な内容を記載すると良いでしょう。
株式移転計画書は、印紙税法において印紙税が不要な「非課税文書」とされています。そのため、株式移転計画書の作成に際して、印紙税の納付は基本的に必要ありません。 なお、株式移転計画書に印紙税法に課税対象として挙げられている文書の内容が含まれている場合は、例外的に印紙税が必要となるケースは存在します。 また、印紙税の額は、取引の内容や金額によって異なります。例えば不動産や知的財産権の譲渡に関する契約書の印紙税の一覧を示しますので、ご参照ください。
取引金額 | 印紙税 |
---|---|
10万円以下 | 200円 |
10万円超~50万円以下 | 400円 |
50万円超~100万円以下 | 1,000円 |
100万円超~500万円以下 | 2,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 1万円 |
なお、電子申告等で提出し紙の書面としては作成しない場合、印紙税の納付は不要です。
株式移転計画書を作成する際は、いくつかの注意点があります。いずれも、計画書の効力を保つために欠かせない内容ですので、一つずつ把握しましょう。
4-1. 記載事項に漏れが無いようにする
先述のとおり、株式移転計画書に記載する項目は、法律において定められています。仮に、一つでも必要事項が抜けていれば、株式移転計画書としての意味を為しません。 作成前に、記載が定められている項目を確認し、作成後には漏れ無くすべてそろっているか、チェックすることが重要です。
4-2. 事前開示を行う必要がある
株式移転計画書は作成後、書面または電子データで本店に備え置いておくことが、会社法803条で定められています。その期間については、以下のなかで「最も早い日から6ヶ月間」です。
- 株式移転の承認決議に関する、株主総会の2週間前の日
- 反対株主の株式買取請求に関する通知または公告の日
- 新株予約権買取請求に関する通知または公告の日
- 債権者異議手続の公告または催告の日
株式移転は、株主総会において株式移転計画の承認を得ることからはじまります。株式移転計画書の作成が遅くなれば、株式移転の実施が後ろ倒しになってしまうため、適切なタイミングで作成することが欠かせません。
4-3. 共同で作成する必要がある
株式移転計画書は、株式移転を行うすべての会社が共同で作成する必要があります。これは会社法772条に定められており、1社でも欠けると無効です。 複数の会社が関与する場合、計画書の作成完了までに時間を要することも考えられるため、十分に注意しましょう。
株式移転計画書は、株式移転を実行するうえで非常に大切な書類です。記載事項に漏れが無いよう注意深く作成し、適切なタイミングで事前開示を行うことが求められます。また、株式を移転するすべての会社が共同で作成する必要があるため、スムーズに進めるための調整も欠かせません。 株式移転を検討中の企業様には、M&Aの専門家であるM&Aキャピタルパートナーズにご相談ください。豊富な知識と経験を活かし、株式移転計画書の作成をはじめ、株式移転の実現に向けたサポートを提供します。 なお、初期相談や着手金は無料です。弊社に登録する弁護士や公認会計士などのプロフェッショナルを交えて丁寧にお応えしますので、疑問や不安のある方は、お気軽にお問い合わせください。
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