株にかかる税金はどうなるの? LINE投資部
株式投資を行う前に、いくつか理解しておくべき税金に関する知識があります。ここでは株式投資にまつわる税金について解説します。 株取引でかかる税金は2種類 株式投資で得ることができる主な利益は、売却益と配当益です。株取引にかかる税金も2種類に分 2021年06月25日2022年03月11日小川 洋平投資の手法投資の仕組みXFacebookLINE
株式投資で得ることができる主な利益は、売却益と配当益です。株取引にかかる税金も2種類に分かれていて、株の売却益には譲渡益課税が、配当金には配当課税が課されます。
株の売却益と配当金は、いずれも税率が20.315%。その内訳は所得税が15.315%(うち、復興特別所得税が0.315%)、住民税が5%です。つまり、「株式投資で得た利益には20.315%の税金がかかる」と覚えておけば間違いありません。例えば100万円の利益が出た場合、203,150円の税金が課されることになります。ちなみに、配当益に対しては配当が出たときに源泉徴収されるため、確定申告を行う必要はありません。
税金を払うタイミングと支払い方
譲渡益に対する税金は、どのタイミングで支払えば良いのでしょうか。まず課税対象について明確にしてから、そのタイミングについて確認していきます。
株式投資の利益にかかる課税対象は、あくまで解約して確定した利益に対してのみ。含み益については課税されません。また、課税対象期間は1月1日〜12月31日です。原則、確定申告による納税が必要ですが、株式投資を行っている口座の種類によって納税方法やタイミングが異なります。
- 一般口座:翌年に自分で申告・納税
- 特定口座(源泉徴収なし):翌年に自分で申告・納税
- 特定口座(源泉徴収あり):翌年に証券会社がまとめて納税
このように、株式投資を行う口座には3つの種類があります。多くの株式投資家は証券会社がまとめて納税してくれるため、個人で確定申告する必要のない特定口座(源泉徴収あり)を利用していることでしょう。
特定口座(源泉徴収あり)は個人で確定申告をしなくて良いので便利ですが、一般口座や特定口座(源泉徴収なし)にもメリットはあります。それぞれの口座について、主な特徴は以下の通りです。
- 一般口座:自分で年間の損益を算出し確定申告にて納税
- 特定口座(源泉徴収なし):証券会社が損益を計算した年間損益報告書をもとにして、自分で確定申告を行い納税
- 特定口座(源泉徴収あり):証券会社が損益計算、納税まで行う。自分で納税の対応は不要
一般口座と特定口座(源泉徴収なし)は、投資家自身が確定申告する必要があります。確定申告と聞くと、面倒に思われる方は多いかもしれません。しかし、確定申告を行うまで税金を納める必要はありませんので、手元資金を厚くしておくことができます。また、特定口座(源泉徴収なし)を選択すれば証券会社が1年間の損益を計算した年間損益報告書を翌年1月に郵送してくれるので、簡単に確定申告を行うことが可能です。一般口座はすべて自分で損益を計算しなければなりませんので、もし確定申告を自身で行いたいのであれば特定口座(源泉徴収なし)を利用するようにしましょう。
例えば10万円の利益が出た場合、いくら税金はかかるのか?
実際にかかる税金について確認しましょう。例えば10万円の利益が出た場合、10万円×20.315%=2万3150円の税金がかかることになります。この税額については、高いと感じる方が多いかもしれません。
特定口座(源泉徴収あり)の場合は利益確定するたびに源泉徴収されますので、特に心配はありません。しかし、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座では、翌年の確定申告で一括納税することになります。そのため、税金分のお金はしっかり残しておくようにしましょう。そうしないと、翌年に税金を支払えない事態に陥ってしまうかもしれません。
一般口座や特定口座(源泉徴収なし)の場合、確定申告の時期まで税金を納める必要がないので税金分を投資に回すこともできます。しかし、税金分のお金は残すようにしてください。
<20万円以下の利益は申告不要>1年間のトータルの利益が20万円以下の場合、確定申告が不要になります。特に少額投資家には、ありがたく感じるでしょう。ただし、特定口座(源泉徴収あり)の場合は20万円以下の利益でも課税されます。利益が少額の場合は、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座の利用を検討するようにしてください。ただし、年間の利益が20万円以下でも給与所得が年間2,000万円を超える場合は、確定申告が必要となる点も覚えておきましょう。
NISA口座を使えば、株式投資の利益はすべて非課税になる
NISAとは少額投資非課税口座のこと。NISA口座を使って取引をした場合、すべての利益が非課税になります。NISAには主に「一般NISA」と「つみたてNISA」という口座がありますが、株式取引で利用できるのは一般NISAです。
<一般NISAの特徴>
- 年間最大投資額:120万円
- 非課税期間:最長5年(ロールオーバーという仕組みを使えば最長10年)
- 利用できる投資商品:株式・ETF・投資信託など
一般NISAとつみたてNISAは併用できません。また、NISA口座は1つの金融機関でしか開設することができないので、どの金融機関でNISAを使うかは慎重に判断するようにしましょう。NISAは利益に対して税金がかからない、非常に恵まれた口座です。せっかく国が作った制度ですので、株式投資を行う方はぜひ利用することをおすすめします。
確定申告を利用した方が良いケース
特定口座(源泉徴収あり)で、確定申告をしても問題があるわけではありません。むしろ確定申告した方が良いケースがありますので、それぞれ詳しく解説しましょう。
損益通算を行いたいとき
損益通算とは利益と損失をぶつけることができる制度です。例えばA株式で100万円の利益が出て、B株式で50万円の損失が出たとしましょう。この場合、利益と損失をぶつけることができますので、100万円-50万円=50万円に対して20.315%の税金がかかります。
同じ証券会社や銀行で特定口座を利用していれば自動的に計算してくれますが、違う証券会社や銀行の株式を損益通算したい、あるいは一般口座や特定口座(源泉徴収なし)の場合は、確定申告する必要がありますので注意してください。
株式投資同士はもちろん、投資信託とも損益通算を行うことは可能です。ただしFXや暗号資産(仮想通貨)との損益とは、通算することができませんので覚えておいてください。
繰越控除を行いたいとき
繰越控除とは、3年間損失を繰り越すことができる制度です。例えば1年目に損失が出て繰越控除し、2年目や3年目に利益が出た場合には税金を減らすことができます。ただし、繰越控除を使うには確定申告が必要です。
必要経費がある場合
株式投資期にかかる必要経費は、確定申告によって控除できます。株式投資で認められる必要経費の代表例を、以下にまとめましたので参考にしてください。
- 株式投資に必要なパソコンやモニター、スマートフォンなどの購入費用
- 株式投資にかかるインターネット代、電話代
- 株式投資の勉強をするための新聞や書籍などの購入費用
- 株式投資を行う家の家賃や光熱費
- 株式投資のセミナーの受講費用や交通費や宿泊費
経費に関する領収書等の書類は保管し、確定申告を行う際に慌てないよう日頃から整理しておきましょう。
損益通算や繰越控除をして損をしてしまう可能性がある!?
一般的に、損益通算や繰越控除は行った方が良いと思われている方が多いでしょう。しかし実際のところ、状況によっては行わない方が良いケースもあります。例えば、国民健康保険に加入していると、国民健康保険の保険料は所得によって変わることはご存じでしょう。特定口座(源泉徴収あり)の場合、証券会社が代わりに納税をしてくれるので、投資家個人は確定申告を行う必要がありません。特定口座(源泉徴収あり)の所得は他の所得と合算されませんので、どんなに利益が出ても国民健康保険料には影響しないのです。
しかし確定申告することによって、株式投資の利益は国民健康保険料の計算に影響が出ることになります。損益通算や繰越控除のために確定申告を行えば、国民健康保険料が高くなってしまう可能性があるでしょう。そのため、税理士などと相談してしっかり計算するようにしてください。
まとめ
株式投資は、損失を出してしまう可能性ももちろんありますが、利益を得ることが期待できます。
しかし、株式投資で利益が出た場合、利益に対してしっかり税金がかかる点に注意してください。日本の税制では、キャピタルゲインとインカムゲインのそれぞれに20.315%の税金がかかります。
また、取引口座によって、確定申告の有無や税金を納めるタイミングが異なる点も覚えておいてください。基本的には、証券会社や銀行が納税をしてくれる特定口座(源泉徴収あり)が便利でしょう。わずらわしい計算は不要ですし、利益確定の都度、税金が取られるので納税分のお金を確保しておく必要もありません。
ただし人によっては、一般口座や特定口座(源泉徴収なし)の口座の方が有利に働く場合があります。例えば1年間の利益が20万円以下の場合は、確定申告する必要がありません。つまり、実質的に税金を納める必要がないということです。しかし特定口座(源泉徴収あり)で取引してしまうと、たとえ20万円以下の利益でもしっかり税金が発生します。このように、利用する口座によって税金の取り扱いに違いがありますので、ご自身に合った口座で取引するようにしましょう。
なお、当たり前のことですが、納税は必ず行いましょう。意図的ではなくても、納税していなければすぐ税務署にわかります。なぜなら証券会社や銀行が、支払調書という取引履歴を税務署に送っているから。この支払調書を通じ、税務署は投資家の取引内容を把握しているのです。万が一、申告を行わないと、後になって重加算税を取られることになります。税金について正しく理解し、株式投資による資産運用に取り組んでください。
監修者プロフィール
渡辺 智(ワタナベ サトシ) FP1級、証券アナリスト。
<プロフィール>大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えことをモットーに活動中。
渡辺 智(ワタナベ サトシ) FP1級、証券アナリスト。
<プロフィール>大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えことをモットーに活動中。
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