資産運用・投資のお悩みを解決(13) NISA枠をうまく使うにはどうすればいい? マイナビニュース

資産運用・投資のお悩みを解決(13) NISA枠をうまく使うにはどうすればいい?   マイナビニュース

1月から始まった新NISAを機に、投資を始める人が増えています。こうした中、「新NISAの枠をどう活用すべきですか?」という相談を受けることがあります。

掲載日 2024/06/07 09:00

著者:牛山 史朗 - ケース【1】余裕資金よりも多く投資したい

  • ケース【2】新NISAの枠にあわせて投資額を抑えたい
  • 自分に合った資産運用を考えるのが先

目次を開く 「余裕資金は50万円ですが、1年以内に使う予定の50万円も手元にあります。新NISAはとてもよい制度だと聞きました。少し頑張って、より多くの資金を投入したほうがよいのではないでしょうか」

余裕資金とは、当面使う予定がないお金のことです。このケースでは余裕資金が50万円、余裕資金ではないお金が50万円あります。新NISAは確かに良い制度なので、「余裕資金を超えて投資したほうがいいのでは」と迷っている人もいるのではないでしょうか。

しかし、資産運用にあてるのは余裕資金だけにすることを強くおすすめします。このケースで言えば、余裕資金の50万円のみを投資にあて、1年以内に使う予定がある50万円は投資せずに現金のままとっておくことになります。

資産運用によって投資したお金が増えると期待できるのは、10年、20年と長く続けるからです。半年や1年といった短期間では、ある程度の確率で資産が目減りすることもあります。このため、1年以内に使う予定があるお金は資産運用に向いていません。

このケースの問題は、NISA制度に合わせて自分の資産運用のプランを考えてしまっているところです。本来は逆で、自分に合った資産運用を考え、それに沿って制度を活用しなければなりません。制度に縛られて、自分に合った資産運用ができないのでは本末転倒です。

また、新NISAは恒久的な制度です。1,800万円の枠は生涯にわたって使えるので、焦って枠を埋める必要はありません。最初は無理のない金額からスタートし、余裕ができたら資金を増やすなど、自分のペースで利用するのがいいでしょう。

ケース【2】新NISAの枠にあわせて投資額を抑えたい

「余裕資金が1,000万円以上あり、できるだけ早く資産運用にまわしたいと思っています。ただ新NISAには、年間の投資枠に上限があると聞きました。一気に投資するか、上限を超えないよう分けて投資するか迷っています」

新NISAの非課税枠は1,800万円ですが、年間の上限は360万円です。このケースでは、1,000万円を一括で投資すれば、初年度に新NISAを活用できるのは360万円と余裕資金の一部にとどまります。一方、年間の投資額を360万円に抑え、NISAの枠内で何年かに分けて投資するという考え方もあります。

このケースでは、NISAにこだわらず無理ないペースで投資にまわすことをおすすめします。それは「余裕資金をできるだけ早く資産運用にまわしたい」という方針がはっきりしているからです。NISAの上限を超える部分は一旦は課税の口座で投資することになりますが、年が変わると新たな枠ができるので、課税口座の資産を売却してNISA口座で買い直すことで非課税メリットを受けられるようになります。

余裕資金がたくさんある場合、NISA枠の範囲で投資する必要はありません。NISAを活用するかどうかよりも、投資をするかしないかの差のほうがずっと大きいからです。NISA枠にとらわれて資産運用にまわす金額を減らすと、資産を増やすチャンスを失うことになります。ケース【1】と同じく、自分に合った資産運用を考え、それに沿って制度を活用するのが大切です。

自分に合った資産運用を考えるのが先

ただし、どんな人でも手元にある余裕資金を一括で投資にまわせばいいというわけではありません。一括で投資するのがよいか、分けて投資するのがよいかは、収入や資産の状況、投資志向によって異なります。

たとえば投資した直後に相場急落があり、投資資金が目減りしたとしても気にならないなら、一括で投資すればいいでしょう。反対に、相場が大きく動いたときに大きく動揺しそうなら、分けて投資するほうがよいかもしれません。

新NISAが始まってから、いわゆるNISA攻略法の記事を見かけることもあります。しかし資産運用の方法は一人ひとり違います。まずは自分に合った資産運用が何かを考え、そのうえで新NISAを活用するという順番を忘れないでほしいと思います。

牛山 史朗

ウェルスナビ 執行役員 リサーチ&クオンツ 働く世代の誰もが「長期・積立・分散」の資産運用を行えるようにしたいという想いから、2015年12月にウェルスナビに入社。金融工学の専門知識を活用し、自動の資産運用サービス「WealthNavi(ウェルスナビ)」の資産運用の仕組みを開発・リードしてきた。ウェルスナビ入社以前には、三菱UFJ信託銀行で個人向けの資産運用アドバイスなどを担当した後、野村證券にてグローバルな投資戦略の開発を行った。京都大学工学部で人工知能を研究、京都大学大学院情報学研究科で金融工学を専攻。

この著者の記事一覧はこちら- 第13回 NISA枠をうまく使うにはどうすればいい?

  • 第12回 NISAで最も悩まされる、2つの投資枠の考え方とは
  • 第11回 新NISA活用前に知っておきたい、投資・投機・ギャンブルの違いとは?
  • 第10回 人気の金融商品に飛びつく前に考えたいこと
  • 第9回 NISAは今年始めるべき? 来年まで待つべき?

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