40代会社員投資家が単元未満株で組んだポートフォリオを公開!いろいろな株が買えるのが楽しい - 価格.comマガジン

40代会社員投資家が単元未満株で組んだポートフォリオを公開!いろいろな株が買えるのが楽しい - 価格.comマガジン

1株から投資できる「単元未満株投資」を実践する会社員投資家を取材。有名企業がズラリとそろうお手製ポートフォリオなど、他の投資にない魅力について聞いてみました!

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  • Writer百瀬康司

  • Editor野 洋介(編集部)

2022年9月11日 株は通常100株(1単元)で売買しますが、証券会社によっては、1株などの「単元未満」から売買することができます。そんな「単元未満株投資」のメリット・デメリットや、単元未満株の売買ができる証券会社について紹介した前編に続き、今回の記事では、「単元未満株投資」を実践している個人投資家に、その魅力について話をお聞きしました。

実際に運用しているポートフォリオも教えてもらいました(画像はイメージです)実際に運用しているポートフォリオも教えてもらいました(画像はイメージです)

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ライブドア・ショックを経験し、長期保有&分散スタイルへ

今回ご登場いただくのは、ブログ「kanatoの資産構築研究所」で自身の資産運用について発信しているkanato(かなと)さんです。普段はサービス業を手がける企業に勤務する40代の既婚男性です。

画像は、kanatoさんのブログ「kanatoの資産構築研究所」より画像は、kanatoさんのブログ「kanatoの資産構築研究所」より

取材協力 kanato(かなと)さん会社員として働きながら投資を行う個人投資家。単元未満株を含む日本株、米国株、投資信託の積み立て、FX、暗号資産など幅広い投資を実践中。変わり種としてウィスキー投資にも取り組む。ブログ「kanatoの資産構築研究所」を運営中。投資の最終目標は「老後資金の充実」。

kanatoさんの投資歴は18年ほど。新卒で働き出したのと時を同じくして投資を始めたそうです。

「株をやっていた父親の勧めでした。元手は100万円で、100株単位の日本株投資からスタートしました」(kanatoさん、以下カギかっこ内同)

日本株の短期売買を中心に取り組み、投資成績は順調に推移。しかし、2006年1月に「ライブドア・ショック」に見舞われます(※)。約300万円まで増えていた資産が3分の1に減り、元手の100万円に逆戻りしてしまう事態に。

※ ライブドア・ショック2006年1月16日に株式会社ライブドアの粉飾決算が発覚。これを受け、翌17日に一部証券会社が、信用取引におけるライブドアおよびライブドア関連株の担保価値をゼロにしたことをきっかけとして、個人投資家を中心に“売りが売りを呼ぶ展開”となり、東証1部(当時)の値下がり銘柄が全体の9割にも達しました。翌18日も売り注文が殺到し、処理システムの限界に近づいた東京証券取引所が「全銘柄取引停止」処置をとるなど、その影響は多岐にわたりました。

「この時は投資の怖さを感じて、一時的に投資熱が下がったこともありました。しかし、書籍などで自分なりに研究を重ね、日本株の取引スタイルを短期売買から長期保有に変更したり、投資対象を『投資信託の積み立て』、『米国株』、『FXのシステムトレード』、『暗号資産』などにも分散させたりと試行錯誤しました。その結果、2012年に全体の資産が1,000万円を超え、2016年には2,000万円に。その後、2018年の『仮想通貨(暗号資産)バブル崩壊』などの影響を受けたものの、基本的には右肩上がりが続いています」

「単元未満株投資」なら米国株のように1株単位で運用できる

kanatoさんは2020年より、日本株の「単元未満株投資」にも取り組んでいます。当初の目的は「株主優待」で、単元未満株の株主でも優待の対象になる銘柄を選んで保有していたそうです。

ただし、最近は単元未満株を優待の対象外とするケースが増加。「持っているだけで優待がもらえる」というメリットが減りつつあることから、目的を「長期投資でキャピタルゲインやインカムゲインを狙うこと」に変更しました。

「元々、1株から買える米国株では(※)、長期保有を念頭にして複数の銘柄を運用していました。日本株でも、単元未満株なら同じような『ポートフォリオ運用』ができると考え、現在は自分で選んだ複数の単元未満株を運用しています」

※米国株は基本的に1株から購入可能。日本国内でも米国株を扱っている証券会社で1株から投資ができます(画像はニューヨーク証券取引所)※米国株は基本的に1株から購入可能。日本国内でも米国株を扱っている証券会社で1株から投資ができます(画像はニューヨーク証券取引所)

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各セクターの大企業や成長期待の企業に少しずつ投資

では、kanatoさんの単元未満株のポートフォリオについて具体的に教えてもらいます。以下はkanatoさんが実際に保有している単元未満株の銘柄です(以下、2022年9月6日時点の情報)。

「単元未満株で保有しているのはぜんぶで20銘柄です。そのうち16銘柄は、『トヨタ自動車(7203)』など日本を代表するような企業の株です。残りの4銘柄は、今後の成長が期待できる新興企業を選んでいます」

kanatoさんの単元未満株ポートフォリオ

■国内大企業16銘柄トヨタ自動車(7203)×65株(1株あたり2,049円、評価額133,153円)日本電信電話(9432)×14株(1株あたり 3,727円、評価額52,178円)三井住友フィナンシャルグループ(8316)×10株(1株あたり4,212円、評価額50,544円)ソニーグループ(6758)×4株(1株あたり10,775円、評価額53,875円)ANAホールディングス(9202)×16株(1株あたり2,601円、評価額46,809円)武田薬品工業(4502)×12株(1株あたり3,823円、評価額49,699円)セブン&アイ・ホールディングス(3382)×8株(1株あたり5,560円、評価額50,040円)リクルートホールディングス(6098)×8株(1株あたり4,634円、評価額50,974円)富士フイルムホールディングス(4901)×6株(1株あたり7,006円、価額49,042円)日本たばこ産業(2914)×17株(1株あたり2,366円、評価額47,310円)INPEX(1605)×10株(1株あたり1,544円、評価額15,440円)花王(4452)×3株(1株あたり5,863円、評価額17,589円)ブリヂストン(5108)×3株(1株あたり5,188円、評価額15,564円)小松製作所(6301)×6株(1株あたり2,877円、評価額17,259円)日本取引所グループ(8697)×8株(1株あたり2,035円、評価額16,280円)東京海上ホールディングス(8766)×3株(1株あたり7,583円、評価額22,749円)評価額の合計688,505円※各銘柄の株価は2022年9月6日の終値

「大きな企業は経営が安定していて倒産のリスクが低いのが魅力です。最初に買ったのは『トヨタ自動車』で、その後、盤石な体制にするために、『通信』『金融』『製薬』『航空』『小売り』などセクター(分野)を分けて投資対象を増やしてきました。現在は『トヨタ自動車』の比率がやや高いので、どうリバランスするか考えているところです」

■成長期待の新興企業4銘柄セリア(2782)×17株(1株あたり2,591円、評価額44,047円)ミロク情報サービス(9928)×30株(1株あたり1,552円、評価額46,560円)総合警備保障(2331)×13株(1株あたり3,530円、評価額45,890円)農業総合研究所(3541)×127株(1株あたり354円、評価額44,958円)評価額の合計 181,455円※各銘柄の株価は2022年9月6日の終値

「新興企業は“伸びしろ”を重視しています。『セリア(2782)』は街中でよく見かける100円ショップの運営企業。企業向けシステムインテグレーターの『ミロク情報サービス(9928)』と、ALSOKブランドを展開するセキュリティ企業の『総合警備保障(2331)』は最近テレビCMでよく見かけるので気になっていた銘柄です。『農業総合研究所(3541)』は、農家が直接スーパーマーケットなどに卸せるプラットフォームを運営している企業なのですが、妻がラジオで知って『面白そう』と推薦してくれた企業です。それぞれきっかけは違いますが、さらに成長することを期待して投資しています」

kanatoさんは少額から投資できる単元未満株の特性を生かして、自分好みのポートフォリオを構築(画像はトヨタ自動車東京本社)kanatoさんは少額から投資できる単元未満株の特性を生かして、自分好みのポートフォリオを構築(画像はトヨタ自動車東京本社)

単元未満株の買い方は?

kanatoさんはこれらの単元未満株の買付方法をその時々で柔軟に変えています。当初は『毎月1万円、ボーナス時2万円』など毎月決まった額を投じていましたが、その後は証券会社の手数料ルールの変更などの理由から(後述)、資産全体に占める単元未満株の割合を見て各銘柄を買い付ける方法に変更しました。

現在は、ふたたび毎月定期的に国内の単元未満株を買う方法に変更。さらに、投資する銘柄自体も増やすことを検討しているそうです。

「これまでに単元未満株の購入に充てた金額は80万円ほどです。変動はありますが、2022年9月時点で約85〜90万円で推移しています。2022年は日経平均株価が不調なことを見てもわかるとおり、なかなか大きく増える状況ではありませんが、株価が下がっている時は買い時でもありますので、長い目で見てコツコツ買い付けていく予定です」

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自分の考えを試しやすいのが「単元未満株投資」の魅力

前出のとおり、kanatoさんはさまざまな投資を実践しています。それらと比較して、「単元未満株投資」にはどのような魅力があるのでしょうか?

1: さまざまな企業の株を買うためのハードルが低い

「単元未満株の場合、1銘柄を買うのに必要な資金が少なくて済みます。そのため、それほど多くの資金がなくても、自分でさまざまな銘柄が買えるのが大きな魅力です。

私は『投資信託の積み立て』も行っていますが、投資信託はファンドマネージャーが銘柄を選定し、その中身が投資家側から見えないのが個人的にはやや不満です(もちろん自分で選ばなくていい利点はあると思いますが)。その点、『単元未満株投資』には自分で銘柄を選んで買う楽しみがあります。また、複数銘柄を買う資金的なハードルが低いので、あらゆるセクターに投資をしてリスクを分散できる利点もあります。100株単位の売買では、資金的になかなかこうはいきません」

2: 失敗してもダメージは少なく、注目銘柄を「お試し感覚」で買える

「少額から買えるということは、期待できる利益も少ない分、仮に損失が出てもさほど痛手を被らないで済むことも意味します。そのため、興味を持った銘柄に気軽に投資できる魅力もあります。たとえば、さきほど紹介した『農業総合研究所(3541)』は、大企業と比べると知名度はそこまでありませんが、ビジネスモデルが面白そうだと感じてすぐに投資をしました。このように、ニュースなどで興味を持ったら気軽に投資できるのも、『単元未満株投資』の魅力です。

まとめると、『さまざまな株でポートフォリオを組み、自分の考えを実際に試せる』という点が、私が『単元未満株投資』に感じている魅力なのだと思います」

日本には約3,800の上場企業がありますが、単元未満株にはその中から自分で銘柄を選ぶ楽しみがあるとkanatoさんは話します日本には約3,800の上場企業がありますが、単元未満株にはその中から自分で銘柄を選ぶ楽しみがあるとkanatoさんは話します

長期投資なら注文方式や約定タイミングの限定はデメリットになりにくい

「単元未満株投資」では、「成行注文(なりゆきちゅうもん)しかできない」、「約定タイミングが1日数回などに限られる」という特徴があります。この点についてはどう感じていますか?

「私は長期投資を前提としているため、あまり問題視していません。短期売買の場合は、注文のタイミングと約定のタイミングがずれることで、思っていた価格で売買できない可能性が高く、最悪損失を招くかもしれません。しかし、長期投資であればこうしたデメリットは感じにくいのではないかと思います」

「単元未満株投資」の手数料についてはどう感じていますか?

「かつては手数料の高さがネックになっていました。しかし、『マネックス証券』などが買付手数料を無料にしたため、個人投資家が参入しやすい状況に変わりつつあります(後述)。売却には手数料がかかりますが(マネックス証券の場合は0.55%)、私は頻繁に取引するスタイルでないので、あまり気になってはいません」

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買付手数料無料の「マネックス証券」がメイン口座

kanatoさんのお話から、「単元未満株投資」に興味を持った人もいるかもしれません。実際に始めるには、まず単元未満株の取引に対応している証券会社の口座を開く必要があります。

単元未満株は、すべての証券会社が扱っているわけではありません。前編でも紹介しましたが、中心となるのはネット証券やスマホ証券です。kanatoさんは現在、ネット証券の「マネックス証券」を単元未満株投資のメインの証券会社として利用していますが、それまでに、いくつかのネット証券を渡り歩いてきました。

「株主優待目的で単元未満株を保有していた際は、知り合いに紹介された『SBI証券』を使っていました。その後、長期保有目的に切り替えた時は『auカブコム証券』に移りました。これは、単元未満株の積立購入の買付手数料が無料だったからです(『プレミアム積立』という名で現在もサービスが継続されています)。その後、2021年7月に『マネックス証券』が単元未満株の買付手数料を無料化しました。これにより、積み立て以外の買い方もできると感じ、メイン口座を『マネックス証券』に移した経緯があります」

kanatoさんが「単元未満株投資」のメイン口座として使っているマネックス証券。同社の単元未満株取引サービスは「ワン株」という名称で提供されています(画像はマネックス証券公式サイトより)kanatoさんが「単元未満株投資」のメイン口座として使っているマネックス証券。同社の単元未満株取引サービスは「ワン株」という名称で提供されています(画像はマネックス証券公式サイトより)

ちなみに、現在「マネックス証券」に続く形で「SBI証券」も単元未満株の買付手数料を無料にしています。売却手数料は両社とも約定代金の0.55%。ただし「マネックス証券」には「52円」、「SBI証券」には「55円」の「売却時の最低手数料」が設定されています。単元未満株が買える証券会社や各社の手数料については、本記事の前編(※)もあわせてご確認ください。

※前編「単元未満株」なら超有名企業の株にも手が届く! 株を1株から買える証券会社はどこ?(価格.comマガジン)https://kakakumag.com/money/?id=18723

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単元未満株で、有名企業の株が身近に

前後編の2回にわたって「単元未満株投資」についてご紹介してきました。今回お話をうかがった会社員投資家のkanatoさんは、今後も、「単元未満株投資」を資産運用の柱のひとつとして、ほかの投資とともに継続していくと語っています。最終的な投資の「出口」は決めていないとのことですが、老後資金の充実を基本的な目標としつつ、早期リタイアなども頭の中にあるそうです。

「Fire(経済的自立と早期退職)」なども念頭に入れながら、今後も投資を継続していくと話すkanatoさん「Fire(経済的自立と早期退職)」なども念頭に入れながら、今後も投資を継続していくと話すkanatoさん

投資には「正解」はなく、また、向き不向きもあるので、すべての人にとって「単元未満株投資」が合うわけではないでしょう。しかし「自分でいろいろ調べるのが好きな人」「株を買ってみたい企業がある人」「豊富な選択肢から投資先を選びたい人」などには、比較的マッチしそうな投資方法ではないかと感じます。

単元未満株なら、会社員の一般的な小遣いの範囲からトライすることも可能です。ニュースで話題になった企業や、自分が好きな商品のメーカー企業の株などを、「自分が株主になる」という観点から調べてみるのも面白そうです。ぜひ、単元未満株の売買に対応している証券会社と合わせてチェックしてみてください。

今回ご登場いただくのは、ブログ「kanatoの資産構築研究所」で自身の資産運用について発信しているkanato(かなと)さんです。普段はサービス業を手がける企業に勤務する40代の既婚男性です。

画像は、kanatoさんのブログ「kanatoの資産構築研究所」より画像は、kanatoさんのブログ「kanatoの資産構築研究所」より

取材協力 kanato(かなと)さん会社員として働きながら投資を行う個人投資家。単元未満株を含む日本株、米国株、投資信託の積み立て、FX、暗号資産など幅広い投資を実践中。変わり種としてウィスキー投資にも取り組む。ブログ「kanatoの資産構築研究所」を運営中。投資の最終目標は「老後資金の充実」。

kanatoさんの投資歴は18年ほど。新卒で働き出したのと時を同じくして投資を始めたそうです。

「株をやっていた父親の勧めでした。元手は100万円で、100株単位の日本株投資からスタートしました」(kanatoさん、以下カギかっこ内同)

日本株の短期売買を中心に取り組み、投資成績は順調に推移。しかし、2006年1月に「ライブドア・ショック」に見舞われます(※)。約300万円まで増えていた資産が3分の1に減り、元手の100万円に逆戻りしてしまう事態に。

※ ライブドア・ショック2006年1月16日に株式会社ライブドアの粉飾決算が発覚。これを受け、翌17日に一部証券会社が、信用取引におけるライブドアおよびライブドア関連株の担保価値をゼロにしたことをきっかけとして、個人投資家を中心に“売りが売りを呼ぶ展開”となり、東証1部(当時)の値下がり銘柄が全体の9割にも達しました。翌18日も売り注文が殺到し、処理システムの限界に近づいた東京証券取引所が「全銘柄取引停止」処置をとるなど、その影響は多岐にわたりました。

「この時は投資の怖さを感じて、一時的に投資熱が下がったこともありました。しかし、書籍などで自分なりに研究を重ね、日本株の取引スタイルを短期売買から長期保有に変更したり、投資対象を『投資信託の積み立て』、『米国株』、『FXのシステムトレード』、『暗号資産』などにも分散させたりと試行錯誤しました。その結果、2012年に全体の資産が1,000万円を超え、2016年には2,000万円に。その後、2018年の『仮想通貨(暗号資産)バブル崩壊』などの影響を受けたものの、基本的には右肩上がりが続いています」

「単元未満株投資」なら米国株のように1株単位で運用できる

kanatoさんは2020年より、日本株の「単元未満株投資」にも取り組んでいます。当初の目的は「株主優待」で、単元未満株の株主でも優待の対象になる銘柄を選んで保有していたそうです。

ただし、最近は単元未満株を優待の対象外とするケースが増加。「持っているだけで優待がもらえる」というメリットが減りつつあることから、目的を「長期投資でキャピタルゲインやインカムゲインを狙うこと」に変更しました。

「元々、1株から買える米国株では(※)、長期保有を念頭にして複数の銘柄を運用していました。日本株でも、単元未満株なら同じような『ポートフォリオ運用』ができると考え、現在は自分で選んだ複数の単元未満株を運用しています」

※米国株は基本的に1株から購入可能。日本国内でも米国株を扱っている証券会社で1株から投資ができます(画像はニューヨーク証券取引所)※米国株は基本的に1株から購入可能。日本国内でも米国株を扱っている証券会社で1株から投資ができます(画像はニューヨーク証券取引所)

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各セクターの大企業や成長期待の企業に少しずつ投資

では、kanatoさんの単元未満株のポートフォリオについて具体的に教えてもらいます。以下はkanatoさんが実際に保有している単元未満株の銘柄です(以下、2022年9月6日時点の情報)。

「単元未満株で保有しているのはぜんぶで20銘柄です。そのうち16銘柄は、『トヨタ自動車(7203)』など日本を代表するような企業の株です。残りの4銘柄は、今後の成長が期待できる新興企業を選んでいます」

kanatoさんの単元未満株ポートフォリオ

■国内大企業16銘柄トヨタ自動車(7203)×65株(1株あたり2,049円、評価額133,153円)日本電信電話(9432)×14株(1株あたり 3,727円、評価額52,178円)三井住友フィナンシャルグループ(8316)×10株(1株あたり4,212円、評価額50,544円)ソニーグループ(6758)×4株(1株あたり10,775円、評価額53,875円)ANAホールディングス(9202)×16株(1株あたり2,601円、評価額46,809円)武田薬品工業(4502)×12株(1株あたり3,823円、評価額49,699円)セブン&アイ・ホールディングス(3382)×8株(1株あたり5,560円、評価額50,040円)リクルートホールディングス(6098)×8株(1株あたり4,634円、評価額50,974円)富士フイルムホールディングス(4901)×6株(1株あたり7,006円、価額49,042円)日本たばこ産業(2914)×17株(1株あたり2,366円、評価額47,310円)INPEX(1605)×10株(1株あたり1,544円、評価額15,440円)花王(4452)×3株(1株あたり5,863円、評価額17,589円)ブリヂストン(5108)×3株(1株あたり5,188円、評価額15,564円)小松製作所(6301)×6株(1株あたり2,877円、評価額17,259円)日本取引所グループ(8697)×8株(1株あたり2,035円、評価額16,280円)東京海上ホールディングス(8766)×3株(1株あたり7,583円、評価額22,749円)評価額の合計688,505円※各銘柄の株価は2022年9月6日の終値

「大きな企業は経営が安定していて倒産のリスクが低いのが魅力です。最初に買ったのは『トヨタ自動車』で、その後、盤石な体制にするために、『通信』『金融』『製薬』『航空』『小売り』などセクター(分野)を分けて投資対象を増やしてきました。現在は『トヨタ自動車』の比率がやや高いので、どうリバランスするか考えているところです」

■成長期待の新興企業4銘柄セリア(2782)×17株(1株あたり2,591円、評価額44,047円)ミロク情報サービス(9928)×30株(1株あたり1,552円、評価額46,560円)総合警備保障(2331)×13株(1株あたり3,530円、評価額45,890円)農業総合研究所(3541)×127株(1株あたり354円、評価額44,958円)評価額の合計 181,455円※各銘柄の株価は2022年9月6日の終値

「新興企業は“伸びしろ”を重視しています。『セリア(2782)』は街中でよく見かける100円ショップの運営企業。企業向けシステムインテグレーターの『ミロク情報サービス(9928)』と、ALSOKブランドを展開するセキュリティ企業の『総合警備保障(2331)』は最近テレビCMでよく見かけるので気になっていた銘柄です。『農業総合研究所(3541)』は、農家が直接スーパーマーケットなどに卸せるプラットフォームを運営している企業なのですが、妻がラジオで知って『面白そう』と推薦してくれた企業です。それぞれきっかけは違いますが、さらに成長することを期待して投資しています」

kanatoさんは少額から投資できる単元未満株の特性を生かして、自分好みのポートフォリオを構築(画像はトヨタ自動車東京本社)kanatoさんは少額から投資できる単元未満株の特性を生かして、自分好みのポートフォリオを構築(画像はトヨタ自動車東京本社)

単元未満株の買い方は?

kanatoさんはこれらの単元未満株の買付方法をその時々で柔軟に変えています。当初は『毎月1万円、ボーナス時2万円』など毎月決まった額を投じていましたが、その後は証券会社の手数料ルールの変更などの理由から(後述)、資産全体に占める単元未満株の割合を見て各銘柄を買い付ける方法に変更しました。

現在は、ふたたび毎月定期的に国内の単元未満株を買う方法に変更。さらに、投資する銘柄自体も増やすことを検討しているそうです。

「これまでに単元未満株の購入に充てた金額は80万円ほどです。変動はありますが、2022年9月時点で約85〜90万円で推移しています。2022年は日経平均株価が不調なことを見てもわかるとおり、なかなか大きく増える状況ではありませんが、株価が下がっている時は買い時でもありますので、長い目で見てコツコツ買い付けていく予定です」

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自分の考えを試しやすいのが「単元未満株投資」の魅力

前出のとおり、kanatoさんはさまざまな投資を実践しています。それらと比較して、「単元未満株投資」にはどのような魅力があるのでしょうか?

1: さまざまな企業の株を買うためのハードルが低い

「単元未満株の場合、1銘柄を買うのに必要な資金が少なくて済みます。そのため、それほど多くの資金がなくても、自分でさまざまな銘柄が買えるのが大きな魅力です。

私は『投資信託の積み立て』も行っていますが、投資信託はファンドマネージャーが銘柄を選定し、その中身が投資家側から見えないのが個人的にはやや不満です(もちろん自分で選ばなくていい利点はあると思いますが)。その点、『単元未満株投資』には自分で銘柄を選んで買う楽しみがあります。また、複数銘柄を買う資金的なハードルが低いので、あらゆるセクターに投資をしてリスクを分散できる利点もあります。100株単位の売買では、資金的になかなかこうはいきません」

2: 失敗してもダメージは少なく、注目銘柄を「お試し感覚」で買える

「少額から買えるということは、期待できる利益も少ない分、仮に損失が出てもさほど痛手を被らないで済むことも意味します。そのため、興味を持った銘柄に気軽に投資できる魅力もあります。たとえば、さきほど紹介した『農業総合研究所(3541)』は、大企業と比べると知名度はそこまでありませんが、ビジネスモデルが面白そうだと感じてすぐに投資をしました。このように、ニュースなどで興味を持ったら気軽に投資できるのも、『単元未満株投資』の魅力です。

まとめると、『さまざまな株でポートフォリオを組み、自分の考えを実際に試せる』という点が、私が『単元未満株投資』に感じている魅力なのだと思います」

日本には約3,800の上場企業がありますが、単元未満株にはその中から自分で銘柄を選ぶ楽しみがあるとkanatoさんは話します日本には約3,800の上場企業がありますが、単元未満株にはその中から自分で銘柄を選ぶ楽しみがあるとkanatoさんは話します

長期投資なら注文方式や約定タイミングの限定はデメリットになりにくい

「単元未満株投資」では、「成行注文(なりゆきちゅうもん)しかできない」、「約定タイミングが1日数回などに限られる」という特徴があります。この点についてはどう感じていますか?

「私は長期投資を前提としているため、あまり問題視していません。短期売買の場合は、注文のタイミングと約定のタイミングがずれることで、思っていた価格で売買できない可能性が高く、最悪損失を招くかもしれません。しかし、長期投資であればこうしたデメリットは感じにくいのではないかと思います」

「単元未満株投資」の手数料についてはどう感じていますか?

「かつては手数料の高さがネックになっていました。しかし、『マネックス証券』などが買付手数料を無料にしたため、個人投資家が参入しやすい状況に変わりつつあります(後述)。売却には手数料がかかりますが(マネックス証券の場合は0.55%)、私は頻繁に取引するスタイルでないので、あまり気になってはいません」

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買付手数料無料の「マネックス証券」がメイン口座

kanatoさんのお話から、「単元未満株投資」に興味を持った人もいるかもしれません。実際に始めるには、まず単元未満株の取引に対応している証券会社の口座を開く必要があります。

単元未満株は、すべての証券会社が扱っているわけではありません。前編でも紹介しましたが、中心となるのはネット証券やスマホ証券です。kanatoさんは現在、ネット証券の「マネックス証券」を単元未満株投資のメインの証券会社として利用していますが、それまでに、いくつかのネット証券を渡り歩いてきました。

「株主優待目的で単元未満株を保有していた際は、知り合いに紹介された『SBI証券』を使っていました。その後、長期保有目的に切り替えた時は『auカブコム証券』に移りました。これは、単元未満株の積立購入の買付手数料が無料だったからです(『プレミアム積立』という名で現在もサービスが継続されています)。その後、2021年7月に『マネックス証券』が単元未満株の買付手数料を無料化しました。これにより、積み立て以外の買い方もできると感じ、メイン口座を『マネックス証券』に移した経緯があります」

kanatoさんが「単元未満株投資」のメイン口座として使っているマネックス証券。同社の単元未満株取引サービスは「ワン株」という名称で提供されています(画像はマネックス証券公式サイトより)kanatoさんが「単元未満株投資」のメイン口座として使っているマネックス証券。同社の単元未満株取引サービスは「ワン株」という名称で提供されています(画像はマネックス証券公式サイトより)

ちなみに、現在「マネックス証券」に続く形で「SBI証券」も単元未満株の買付手数料を無料にしています。売却手数料は両社とも約定代金の0.55%。ただし「マネックス証券」には「52円」、「SBI証券」には「55円」の「売却時の最低手数料」が設定されています。単元未満株が買える証券会社や各社の手数料については、本記事の前編(※)もあわせてご確認ください。

※前編「単元未満株」なら超有名企業の株にも手が届く! 株を1株から買える証券会社はどこ?(価格.comマガジン)https://kakakumag.com/money/?id=18723

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単元未満株で、有名企業の株が身近に

前後編の2回にわたって「単元未満株投資」についてご紹介してきました。今回お話をうかがった会社員投資家のkanatoさんは、今後も、「単元未満株投資」を資産運用の柱のひとつとして、ほかの投資とともに継続していくと語っています。最終的な投資の「出口」は決めていないとのことですが、老後資金の充実を基本的な目標としつつ、早期リタイアなども頭の中にあるそうです。

「Fire(経済的自立と早期退職)」なども念頭に入れながら、今後も投資を継続していくと話すkanatoさん「Fire(経済的自立と早期退職)」なども念頭に入れながら、今後も投資を継続していくと話すkanatoさん

投資には「正解」はなく、また、向き不向きもあるので、すべての人にとって「単元未満株投資」が合うわけではないでしょう。しかし「自分でいろいろ調べるのが好きな人」「株を買ってみたい企業がある人」「豊富な選択肢から投資先を選びたい人」などには、比較的マッチしそうな投資方法ではないかと感じます。

単元未満株なら、会社員の一般的な小遣いの範囲からトライすることも可能です。ニュースで話題になった企業や、自分が好きな商品のメーカー企業の株などを、「自分が株主になる」という観点から調べてみるのも面白そうです。ぜひ、単元未満株の売買に対応している証券会社と合わせてチェックしてみてください。

百瀬康司Writer百瀬康司フリーランスライター。副業をはじめ、投資、貯蓄、節約などマネー企画全般を取材。ビジネスや働くママのジャンルでも取材経験豊富。雑誌、Web、夕刊紙、書籍などで執筆。「真に価値ある情報提供」を使命とする。記事一覧へ野 洋介(編集部)Editor野 洋介(編集部)出版社での書籍・月刊マネー誌の編集を経て価格.comマネー編集部。投資初心者・未経験者向けの企画立案、執筆多数。キャッシュレス、ポイント、投資、節約など、便利でおトクな情報をタイムリーにお届けします。記事一覧へ ご利用上の注意- 本記事は情報の提供を目的としています。本記事は、特定の保険商品や金融商品の売買、投資等の勧誘を目的としたものではありません。本記事の内容及び本記事にてご紹介する商品のご購入、取引条件の詳細等については、利用者ご自身で、各商品の販売者、取扱業者等に直接お問い合わせください。

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