ソニーの株価は10年後どうなる?事業戦略や業績からどこまで上がるか分析|いろはにマネー
ソニーの10年後の株価について解説していきます。足元の業績、事業内容、競合他社との比較を通して、ソニーの将来性の分析します。ソニーに今後、投資したい方は必見です。 いろはにマネー編集部2024-06-06 2024-06-062024-06-0684
ソニーの株価はどこまで上がるの?10年後の株価の予想はどんな感じ?
このようなお悩みを解決します。
🔰いろはに結論
- 10年後のソニーの株価は上昇が予想される!
- ソニーは競合他社よりも財務指標が優れている!
- ソニーの今後の株価を占うのは、エンタメ事業の売り上げと海外事業展開の成果
ゲーム機やタレントマネジメント、個人の資産運用など幅広い事業を世界で取り組んでいるソニー。
「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というスローガンのもと、コンテンツ、プロダクツ&サービス、半導体事業を展開しています。
SNSでは「上がる」ってよく言われているけど、ほんとはどうなのか気になる…
そこで本記事では、ソニーの10年後の株価について分かりやすく解説していきます。
執筆:いろはにマネー編集部いろはにマネーは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。株式や投資信託などの投資経験があるメンバー、仮想通貨投資経験者、20枚以上のクレカ保有者、証券アナリスト試験合格者など、それぞれの記事領域に見識の深いメンバーが運営しています。X(旧Twitter):@IrohaniMoney
執筆記事を見る目次
ソニーの株価は10年後どうなる? 3つの視点から考察
💡このパートの要約
ソニーの10年後の株価は… 上昇予想!
- 長期計画(10年後)では、エンタメに特化した事業を展開
- 足元のエンタメ事業のセグメント売り上げ好調&独自サービスの展開に期待
- 金融事業の減益→エンタメ業に特化するために子会社化(スピンオフ)して分業する狙い
ソニーの事業内容と業績は?これからソニーへの個別投資を考えている方にとって、将来の業績を予想することは必要になってきますよね。
ここではソニーの10年後の株価を、最新の「経営方針説明会」の発表資料を基に考察していきます。
結論から申し上げますと、ソニーの株価は上昇する予想です。
以下はこのような予想になった3つの要素をご紹介します。
- ソニーが長期的にエンタメにより特化することを強調
- 直近の決算でエンタメ事業は増収
- 金融業での大幅減益
ソニーが長期的にエンタメにより特化することを強調
「2024年度 経営方針説明会」発表資料の中の長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」(ソニーの10年後のビジョン)にて、以下のようなスローガンを立てています。
- テクノロジーを活用し、フィジカル、バーチャル、時間といった次元を超え、世界中のクリエイターの創造性を解き放つ
- 境界を超えて多様な人々や価値観を繋げ、熱量の高いコミュニティを育む
- クリエイターと共に、想像を超えたわくわくするストーリー性のある体験を作り、感動の新たなタッチポイントとして世界中に広げる
-「Creative Entertainment Vision」が示す方向性に向けて、現在、さまざまなエンタテインメントカテゴリにおいて IP価値最大化の取り組みを進めている。-
ソニーグループ株式会社 2024年度経営方針説明会ソニーはテクノロジー&サービス事業を成長させつつ、世界中のクリエイターや消費者に還元させるという計画を立てていることが分かります。
主に、アニメ・映画・音楽・スポーツなどのIPを更なる創造・育成を計画しているようです。
IPとは、知的財産権に基づいた有形・無形の知識や創作物のことを指します。
エンタメ事業に特化していくということだね!
直近の決算でエンタメ事業は増収
エンタメに特化した長期計画を打ち出しているなら、足元のエンタメ業の売り上げや見通しはどうなっているのでしょう。
以下に、エンタメのセグメントの前年度の売上高、今年度の売上高、来年の見通しをまとめました。
エンタメ各セグメント | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度(予想) |
---|---|---|---|
音楽(売上高) | 13,806 | 16,190 | 16,900 |
(営業利益) | 2,631 | 3,017 | 3,150 |
映画(売上高) | 13,694 | 14,931 | 14,800 |
(営業利益) | 1,193 | 1,177 | 1,200 |
テクノロジー&サービス(売上高) | 24,760 | 24,537 | 23,700 |
(営業利益) | 1,795 | 1,874 | 1,900 |
2023年度 連結業績概要よりいろはにマネー作成単位:億円あれ?来年度は全体的に減収予想になってる…
各セグメントは前年度から売上を伸ばしていますが、なんと来年度は減収予想に。
売り上げの増加は為替の影響を受けたことが主な原因ですが、来期の減収予想の理由としてはどのような点が挙げられているのでしょうか。
減益の理由
- 音楽分野減価償却費及び償却費の増加
- 映画(ほぼ前年度並み)ハリウッドのストライキによる作品制作の減少
- テクノロジー&サービス販売台数減少によるテレビの減収
とはいえ、計画書には「IP価値最大化のグローバル展開」と記載されていて、国内の収入に頼らず海外での事業成長を目標としています。
乗用車のパーソナライズされたエンターテインメント空間への開発など、オリジナリティあるコンテンツ開発も注目です。
そのため来期は減収予想となっていますが、長期的な目で見れば十分期待ができると考えられます。
金融業での大幅減益
ここで、金融での売り上げも確認してみましょう。
セグメント | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度(予想) |
---|---|---|---|
金融ビジネス(売上高) | 8,891 | 17,700 | 9,100 |
(営業利益) | 3,181 | 1,736 | 1,450 |
出典:2023年度 決算説明資料単位:億円売上高が前年度からすごい減益しているね…
他の事業と同じく、金融も為替の影響を受けて売り上げは大きく増えましたが、営業利益は前年度より大きく落ち込んでいることが分かります。
とはいえ、金融事業についてソニーは以下のように言及をしています。
パーシャル・スピンオフに向けて準備を開始した金融事業については、自立を通じたさらなる進化を、ソニーブランドの利用や各事業との連携強化によりグループ全体で支えていく。
ソニーグループ株式会社 2024年度経営方針説明会そして金融事業への言及は、資料中でなんとこの1文のみでした。
長期計画の中では、金融業の優先度が低いことが分かるワン!
後に紹介しますが、ソニーは金融事業を子会社することで、金融事業を会社から切り離そうと目論んでいます。
そのため今年度、来年度の大幅減益はこのスピンオフに向けたものと考えると、妥当なものだと言えます。
ソニーの事業内容・業績
💡このパートの要約
- ソニーはゲーム、エンタメ、金融の3つの領域の事業を展開している
- 通期決算は5年連続の増益と好調な成長を続ける
- 来年度の業績予想はほぼ横ばいの成長見込み
競合比較!ソニーの強みや弱みは?ソニーは正式には「ソニーグループ株式会社(Sony Group Corporation)」という名称であり、ゲーム&ネットワークサービス、エンタテインメント、金融など様々な事業を展開する総合的な電機メーカーです。
そんなソニーを構成する中心企業はどのようなものがあるのでしょうか。
- 事業内容
- 業績
事業内容
同社HPより幅広く事業を展開しているんだね!
ソニーの数ある事業を大きく分けると、3つの業種に分けられます。
- ゲーム&ネットワークサービス
- エンターテインメント(音楽・映画・テクノロジー)
- 金融
ゲーム&ネットワークサービス
同社HPよりゲームの分野はソニー・インタラクティブエンタテインメントが担っています。
この分野は人気家庭用ゲーム機の「PlayStation」シリーズを販売しており、ソニーの売上3割を占める主力サービス(2023年度)となっています。
このハードウェアと並行して、専用ネットワークの構築やソニー独自のゲーム製作にも力を入れています。
エンターテインメント(音楽・映画・テクノロジー)
2024年度 経営方針説明会資料よりエンターテインメント事業は、ソニーミュージックグループが担当。
総合的なソリューションの提案・開発で、エンターテインメント業界全体の支援をしています。
音楽レーベルとしては邦楽バンドやアイドル、俳優をマネジメントし、映画事業ではアニメ関連事業に力を入れて国内外でのIPを利用したマーケティング活動を行っています。
金融
金融事業は、ソニーフィナンシャルグループが運営をしています。
銀行業だけでなく、「ソニー損保」や「ソニー生命」など個人のライフプランに合わせた保険サービスも有名です。
業績
業績はどうだったのかな?
単位:億円 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 82,598 | 89,987 | 99,215 | 109,743 | 130,207 |
営業利益 | 8,455 | 9,552 | 12,023 | 13,023 | 12,088 |
経常利益 | 3,393 | 1,188 | 2,266 | 3,127 | 3,036 |
当期純利益 | 5,821 | 10,438 | 8,822 | 10,117 | 9,804 |
純資産額 | 27,065 | 29,409 | 30,608 | 32,407 | 32,892 |
同社決算短信よりいろはにマネー作成。売上高は5年連続で増収しており,同社の安定的な成長ぶりが窺えます。
しかし2023年度通期を見ると、売上高、純資産以外の指標が軒並み減益となっています。
主な原因として、金融、イメージセンサー分野での大幅な減益が挙げられています。
2023年度通期決算まとめ
ソニーは2024年5月14日、2023年度(2024年3月期)の通期決算を発表しました。
2023年度通期決算の連結最終利益は、13兆200億円と同社計画を上回る結果となりました。
金融分野の大幅な減収があったものの、主にゲーム&ネットワークサービス分野の大幅な増益ならびに音楽分野で増収が功を奏したとされています。
2025年3月期の予想では、前期比5.5%減の12兆3,100億円を見込んでおり、来期の売上はやや伸び悩む予想です。
株主還元では、2026年度に配当性向を40%程度とする見込みだよ!
競合他社と比較!ソニーの強みと弱みは?
💡このパートの要約
ソニーの強みと弱みは以下3つ!
- 営業利益率が10%と高い →本業での「稼ぐ力」がしっかりしている!
- ROEが12%と高い →元手を効率的に活用して、多くの利益を出している!
- 配当性向が10%程度と低い →投資家への還元が少ない・・・ 株価は今後どうなる?将来性を分析電気機器を扱う競合3社と比較して、ソニーの特徴を見てみましょう。
大きく以下の3つの特徴が挙げられます。
- 営業利益率が10%と高い
- ROEが12%と高い
- 配当性向が10%程度と低い
以下、電気機器を扱う3社について主要財務データと参考指標を表にまとめ比較してみます。
決算 | ソニーG(6758) | 日立製作所(6501) | 三菱電機(6503) | パナソニックHD(6752) |
---|---|---|---|---|
売上高(億円) | 112,600 | 97,287 | 52,579 | 84,964 |
当期純利益(億円) | 9,705 | 8,258 | 2,849 | 4,439 |
営業利益率 | 10.7% | 7.8% | 6.2% | 4.2% |
自己資本比率 | 22.2% | 46.7% | 60.6% | 48.3% |
ROE(自己資本利益率) | 12.8% | 10.3% | 7.6% | 9.8% |
PER(株価収益率) | 17.0倍 | 23.4倍 | 18.6倍 | 10.2倍 |
PBR(株価純資産倍率) | 2.1倍 | 2.5倍 | 1.6倍 | 0.7倍 |
EPS(1株当たり純利益) | 794.6円 | 636.6円 | 136.5円 | 190.2円 |
配当利回り | ー | ー | ー | ー |
配当性向 | 10.7% | 28.3% | 36.6% | 18.4% |
各社の通期決算短信よりいろはにマネー作成
営業利益率が10%と高い
財務データからわかるソニーの強みは、営業利益率が10.7%と高い点です。
営業利益率とは、売上に対して本業でどれくらいの利益が出ているかを示した値のことです。
企業の「稼ぐ力」を示す数値だよ!
一般的に営業利益率は10%以上あれば優良企業とされています。
営業利益率が約11%のソニーは十分に稼げる事業を展開しているといえます。
ROEが12%と高い
ソニーはROEが12.8%と競合他社より高い点が魅力的です。
ROEとは、企業が自己資本を用いてどれだけの利益を生み出したのかを表す指標です。
上場企業のROEの平均は9.7%だワン!
つまり、資本の効率性を表す指標といえるため、数値が悪いと経営効率に疑問が残ります。
ソニーは競合他社と比べて、資金を効率的に収益化しているといえます。
配当性向が10%程度と低い
一方、ソニーの弱点として、配当性向が10.7%と他社より低い点が挙げられます。
配当性向とは、当期純利益のうち、どれだけの割合を配当金の支払いに向けたかを示す指標です。
配当性向が低いことが一概に悪いことだとは言えませんが、配当を重視する個人投資家にとっては魅力的とは言えません。
配当に使わない利益は貯蓄や、設備投資や事業投資に充てていることが多いワン!
ソニーの株価は今後どうなる? 将来性を分析
💡このパートの要約
4つの観点から分析!
- 株価 →長期的に右肩上がり!
- 海外事業の打ち切り →インドでの海外事業が中止。計画実現に不安感…。しかし良いウワサも?!
- 金融分野の切り離し →エンタメ事業へ専念。中期計画に向けた着実なアプローチ!
- 株式分割 →投資家層の拡大に期待!
【まとめ】ソニーの株価は上昇予想!ソニーの株価は今後どうなるのかな?
ソニーの今後を以下の点から考察していきます。
- 株価の推移【チャート】
- インドでの事業展開打ち切り
- ソニーフィナンシャルグループ(SFGI)のスピンオフ上場
- 2024年10月に株式分割
株価の推移【チャート】
直近5年のソニーの株価の推移(2024年5月まで)を見てみましょう。
Trading Viewより(2024/5/25)2022年後半には一時下落していましたが、結果的には安定的に上昇をしています。
長期投資をしていた人は利益を得られているね!
2024年初めには、2022年ぶりの最高値圏内の14,000円に達しています。
ソニーの株価はこれからも安定的に上昇していくのではないかと考察できます。
インドでの事業展開打ち切り
え?ソニーは海外事業に力を入れているハズじゃ…。
2024年1月に、ソニーと印大手メディア企業「ジー・エンターテインメント・エンタープライゼズ」との合併交渉が決裂したことが分かりました。
合併交渉が決裂した理由は明らかにはなってはいませんが、ジー社のCEOが会社資金を私的利用した疑惑が浮上したことが原因だといわれています。
これは事実上のインド事業の打ち切りとなり、グローバルに事業拡大するソニーにとって幸先の悪い結果になってしまいました。
これじゃ企業の将来性が不安になってきたよ!
しかし、ソニーは米大手メディアの「パラマウント・グローバル」に対して260億ドル、日本円でおよそ4兆円で買収を提案したと米複数メディアから報じられました。
このようなことから、インドから撤退で海外での事業の勢いを落とすのではなく、より一層国外でのビジネスの展開を続ける勢いがわかります。
今後の動向に注目だワン!
ソニーフィナンシャルグループ(SFGI)のスピンオフ上場
2024年の2月に、ソニーグループが完全子会社で金融事業を担うソニーフィナンシャルグループをスピンオフ上場させることが発表しました。
この金融子会社を分社化することで、エンタメ、イメージセンサー事業を集中することができます。
これは、ソニーの長期計画の「エンタメ事業に特化する」ことを反映した決定であり、計画実現に向けて積極的に動いていることわかります。
スピンオフは企業が特定の部門を分離して新会社として独立させることだよ!
2024年10月に株式分割
さらにソニーは2024年5月14日に、9月30時点の株主に1対5の株式分割を実施すると発表しました。
株式分割ってなんだっけ?
株式分割とは、資本金を変えないで現在の1株を細かく分割することです。
例えば、ソニーの株価が10,000円だったとしましょう。
今回は、株式を5分割することになるので、「10,000円(1株)÷5=2,000円(1株)」という計算になります。
株価を分割したらどんなことが起こるの?
株式分割を行うことで、企業は投資家層の拡大が見込まれて、より多くの投資家から資金を集めることが可能になります。
上の例から考えると、最低投資額が5分の1に引き下げられた事で、ソニーへの投資のハードルが大きく下がったといえます。
株式は100株から購入できるから、最低金額が100万円から20万円に引き下げられるワン!
【まとめ】ソニーの株価は上昇予想!ただし判断は慎重に
ここまで、ソニーの株価の10年後の予想について、解説してきました。
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
🔰いろはにまとめ
- ソニーは10年後、エンタメ事業を全世界で拡大させる中期計画を立てている。
- 競合他社に比べても、業績や経営指標が良い!
- 中期計画の実現のために、事業整理や資金調達を積極的に動いている!
- 海外への事業は若干不安感が残る…。
やっぱりソニーはすごいね!
インドでの事業が中止になったことがネックになったとしても、ソニーの資金力を考えると、やはりソニーの今後は明るいものになるのではないかと考えられます。
特にアーティスト部門では、音楽ユニットの「YOASOBI」が世界中で人気な点を考慮すると、ソニーの世界での成功は実現性があると分かりますね。
とはいえ、10年後の企業の姿を完全に予想することはできないため、投資には慎重な判断が必要でしょう。
この他にも注目の個別株について、編集部目線で解説しているので、ぜひ一緒にご覧ください。
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💡このパートの要約
ソニーの10年後の株価は… 上昇予想!
- 長期計画(10年後)では、エンタメに特化した事業を展開
- 足元のエンタメ事業のセグメント売り上げ好調&独自サービスの展開に期待
- 金融事業の減益→エンタメ業に特化するために子会社化(スピンオフ)して分業する狙い
ソニーの事業内容と業績は?これからソニーへの個別投資を考えている方にとって、将来の業績を予想することは必要になってきますよね。
ここではソニーの10年後の株価を、最新の「経営方針説明会」の発表資料を基に考察していきます。
結論から申し上げますと、ソニーの株価は上昇する予想です。
以下はこのような予想になった3つの要素をご紹介します。
- ソニーが長期的にエンタメにより特化することを強調
- 直近の決算でエンタメ事業は増収
- 金融業での大幅減益
ソニーが長期的にエンタメにより特化することを強調
「2024年度 経営方針説明会」発表資料の中の長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」(ソニーの10年後のビジョン)にて、以下のようなスローガンを立てています。
- テクノロジーを活用し、フィジカル、バーチャル、時間といった次元を超え、世界中のクリエイターの創造性を解き放つ
- 境界を超えて多様な人々や価値観を繋げ、熱量の高いコミュニティを育む
- クリエイターと共に、想像を超えたわくわくするストーリー性のある体験を作り、感動の新たなタッチポイントとして世界中に広げる
-「Creative Entertainment Vision」が示す方向性に向けて、現在、さまざまなエンタテインメントカテゴリにおいて IP価値最大化の取り組みを進めている。-
ソニーグループ株式会社 2024年度経営方針説明会 ソニーはテクノロジー&サービス事業を成長させつつ、世界中のクリエイターや消費者に還元させるという計画を立てていることが分かります。
主に、アニメ・映画・音楽・スポーツなどのIPを更なる創造・育成を計画しているようです。
IPとは、知的財産権に基づいた有形・無形の知識や創作物のことを指します。
エンタメ事業に特化していくということだね!
直近の決算でエンタメ事業は増収
エンタメに特化した長期計画を打ち出しているなら、足元のエンタメ業の売り上げや見通しはどうなっているのでしょう。
以下に、エンタメのセグメントの前年度の売上高、今年度の売上高、来年の見通しをまとめました。
エンタメ各セグメント | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度(予想) |
---|---|---|---|
音楽(売上高) | 13,806 | 16,190 | 16,900 |
(営業利益) | 2,631 | 3,017 | 3,150 |
映画(売上高) | 13,694 | 14,931 | 14,800 |
(営業利益) | 1,193 | 1,177 | 1,200 |
テクノロジー&サービス(売上高) | 24,760 | 24,537 | 23,700 |
(営業利益) | 1,795 | 1,874 | 1,900 |
2023年度 連結業績概要よりいろはにマネー作成単位:億円 あれ?来年度は全体的に減収予想になってる…
各セグメントは前年度から売上を伸ばしていますが、なんと来年度は減収予想に。
売り上げの増加は為替の影響を受けたことが主な原因ですが、来期の減収予想の理由としてはどのような点が挙げられているのでしょうか。
減益の理由
- 音楽分野減価償却費及び償却費の増加
- 映画(ほぼ前年度並み)ハリウッドのストライキによる作品制作の減少
- テクノロジー&サービス販売台数減少によるテレビの減収
とはいえ、計画書には「IP価値最大化のグローバル展開」と記載されていて、国内の収入に頼らず海外での事業成長を目標としています。
乗用車のパーソナライズされたエンターテインメント空間への開発など、オリジナリティあるコンテンツ開発も注目です。
そのため来期は減収予想となっていますが、長期的な目で見れば十分期待ができると考えられます。
金融業での大幅減益
ここで、金融での売り上げも確認してみましょう。
セグメント | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度(予想) |
---|---|---|---|
金融ビジネス(売上高) | 8,891 | 17,700 | 9,100 |
(営業利益) | 3,181 | 1,736 | 1,450 |
出典:2023年度 決算説明資料単位:億円 売上高が前年度からすごい減益しているね…
他の事業と同じく、金融も為替の影響を受けて売り上げは大きく増えましたが、営業利益は前年度より大きく落ち込んでいることが分かります。
とはいえ、金融事業についてソニーは以下のように言及をしています。
パーシャル・スピンオフに向けて準備を開始した金融事業については、自立を通じたさらなる進化を、ソニーブランドの利用や各事業との連携強化によりグループ全体で支えていく。
ソニーグループ株式会社 2024年度経営方針説明会 そして金融事業への言及は、資料中でなんとこの1文のみでした。
長期計画の中では、金融業の優先度が低いことが分かるワン!
後に紹介しますが、ソニーは金融事業を子会社することで、金融事業を会社から切り離そうと目論んでいます。
そのため今年度、来年度の大幅減益はこのスピンオフに向けたものと考えると、妥当なものだと言えます。
ソニーの事業内容・業績
💡このパートの要約
- ソニーはゲーム、エンタメ、金融の3つの領域の事業を展開している
- 通期決算は5年連続の増益と好調な成長を続ける
- 来年度の業績予想はほぼ横ばいの成長見込み
競合比較!ソニーの強みや弱みは?ソニーは正式には「ソニーグループ株式会社(Sony Group Corporation)」という名称であり、ゲーム&ネットワークサービス、エンタテインメント、金融など様々な事業を展開する総合的な電機メーカーです。
そんなソニーを構成する中心企業はどのようなものがあるのでしょうか。
- 事業内容
- 業績
事業内容
同社HPより 幅広く事業を展開しているんだね!
ソニーの数ある事業を大きく分けると、3つの業種に分けられます。
- ゲーム&ネットワークサービス
- エンターテインメント(音楽・映画・テクノロジー)
- 金融
ゲーム&ネットワークサービス
同社HPより ゲームの分野はソニー・インタラクティブエンタテインメントが担っています。
この分野は人気家庭用ゲーム機の「PlayStation」シリーズを販売しており、ソニーの売上3割を占める主力サービス(2023年度)となっています。
このハードウェアと並行して、専用ネットワークの構築やソニー独自のゲーム製作にも力を入れています。
エンターテインメント(音楽・映画・テクノロジー)
2024年度 経営方針説明会資料より エンターテインメント事業は、ソニーミュージックグループが担当。
総合的なソリューションの提案・開発で、エンターテインメント業界全体の支援をしています。
音楽レーベルとしては邦楽バンドやアイドル、俳優をマネジメントし、映画事業ではアニメ関連事業に力を入れて国内外でのIPを利用したマーケティング活動を行っています。
金融
金融事業は、ソニーフィナンシャルグループが運営をしています。
銀行業だけでなく、「ソニー損保」や「ソニー生命」など個人のライフプランに合わせた保険サービスも有名です。
業績
業績はどうだったのかな?
単位:億円 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 82,598 | 89,987 | 99,215 | 109,743 | 130,207 |
営業利益 | 8,455 | 9,552 | 12,023 | 13,023 | 12,088 |
経常利益 | 3,393 | 1,188 | 2,266 | 3,127 | 3,036 |
当期純利益 | 5,821 | 10,438 | 8,822 | 10,117 | 9,804 |
純資産額 | 27,065 | 29,409 | 30,608 | 32,407 | 32,892 |
同社決算短信よりいろはにマネー作成。 売上高は5年連続で増収しており,同社の安定的な成長ぶりが窺えます。
しかし2023年度通期を見ると、売上高、純資産以外の指標が軒並み減益となっています。
主な原因として、金融、イメージセンサー分野での大幅な減益が挙げられています。
2023年度通期決算まとめ
ソニーは2024年5月14日、2023年度(2024年3月期)の通期決算を発表しました。
2023年度通期決算の連結最終利益は、13兆200億円と同社計画を上回る結果となりました。
金融分野の大幅な減収があったものの、主にゲーム&ネットワークサービス分野の大幅な増益ならびに音楽分野で増収が功を奏したとされています。
2025年3月期の予想では、前期比5.5%減の12兆3,100億円を見込んでおり、来期の売上はやや伸び悩む予想です。
株主還元では、2026年度に配当性向を40%程度とする見込みだよ!
競合他社と比較!ソニーの強みと弱みは?
💡このパートの要約
ソニーの強みと弱みは以下3つ!
- 営業利益率が10%と高い →本業での「稼ぐ力」がしっかりしている!
- ROEが12%と高い →元手を効率的に活用して、多くの利益を出している!
- 配当性向が10%程度と低い →投資家への還元が少ない・・・ 株価は今後どうなる?将来性を分析電気機器を扱う競合3社と比較して、ソニーの特徴を見てみましょう。
大きく以下の3つの特徴が挙げられます。
- 営業利益率が10%と高い
- ROEが12%と高い
- 配当性向が10%程度と低い
以下、電気機器を扱う3社について主要財務データと参考指標を表にまとめ比較してみます。
決算 | ソニーG(6758) | 日立製作所(6501) | 三菱電機(6503) | パナソニックHD(6752) |
---|---|---|---|---|
売上高(億円) | 112,600 | 97,287 | 52,579 | 84,964 |
当期純利益(億円) | 9,705 | 8,258 | 2,849 | 4,439 |
営業利益率 | 10.7% | 7.8% | 6.2% | 4.2% |
自己資本比率 | 22.2% | 46.7% | 60.6% | 48.3% |
ROE(自己資本利益率) | 12.8% | 10.3% | 7.6% | 9.8% |
PER(株価収益率) | 17.0倍 | 23.4倍 | 18.6倍 | 10.2倍 |
PBR(株価純資産倍率) | 2.1倍 | 2.5倍 | 1.6倍 | 0.7倍 |
EPS(1株当たり純利益) | 794.6円 | 636.6円 | 136.5円 | 190.2円 |
配当利回り | ー | ー | ー | ー |
配当性向 | 10.7% | 28.3% | 36.6% | 18.4% |
各社の通期決算短信よりいろはにマネー作成
営業利益率が10%と高い
財務データからわかるソニーの強みは、営業利益率が10.7%と高い点です。
営業利益率とは、売上に対して本業でどれくらいの利益が出ているかを示した値のことです。
企業の「稼ぐ力」を示す数値だよ!
一般的に営業利益率は10%以上あれば優良企業とされています。
営業利益率が約11%のソニーは十分に稼げる事業を展開しているといえます。
ROEが12%と高い
ソニーはROEが12.8%と競合他社より高い点が魅力的です。
ROEとは、企業が自己資本を用いてどれだけの利益を生み出したのかを表す指標です。
上場企業のROEの平均は9.7%だワン!
つまり、資本の効率性を表す指標といえるため、数値が悪いと経営効率に疑問が残ります。
ソニーは競合他社と比べて、資金を効率的に収益化しているといえます。
配当性向が10%程度と低い
一方、ソニーの弱点として、配当性向が10.7%と他社より低い点が挙げられます。
配当性向とは、当期純利益のうち、どれだけの割合を配当金の支払いに向けたかを示す指標です。
配当性向が低いことが一概に悪いことだとは言えませんが、配当を重視する個人投資家にとっては魅力的とは言えません。
配当に使わない利益は貯蓄や、設備投資や事業投資に充てていることが多いワン!
ソニーの株価は今後どうなる? 将来性を分析
💡このパートの要約
4つの観点から分析!
- 株価 →長期的に右肩上がり!
- 海外事業の打ち切り →インドでの海外事業が中止。計画実現に不安感…。しかし良いウワサも?!
- 金融分野の切り離し →エンタメ事業へ専念。中期計画に向けた着実なアプローチ!
- 株式分割 →投資家層の拡大に期待!
【まとめ】ソニーの株価は上昇予想!ソニーの株価は今後どうなるのかな?
ソニーの今後を以下の点から考察していきます。
- 株価の推移【チャート】
- インドでの事業展開打ち切り
- ソニーフィナンシャルグループ(SFGI)のスピンオフ上場
- 2024年10月に株式分割
株価の推移【チャート】
直近5年のソニーの株価の推移(2024年5月まで)を見てみましょう。
Trading Viewより(2024/5/25) 2022年後半には一時下落していましたが、結果的には安定的に上昇をしています。
長期投資をしていた人は利益を得られているね!
2024年初めには、2022年ぶりの最高値圏内の14,000円に達しています。
ソニーの株価はこれからも安定的に上昇していくのではないかと考察できます。
インドでの事業展開打ち切り
え?ソニーは海外事業に力を入れているハズじゃ…。
2024年1月に、ソニーと印大手メディア企業「ジー・エンターテインメント・エンタープライゼズ」との合併交渉が決裂したことが分かりました。
合併交渉が決裂した理由は明らかにはなってはいませんが、ジー社のCEOが会社資金を私的利用した疑惑が浮上したことが原因だといわれています。
これは事実上のインド事業の打ち切りとなり、グローバルに事業拡大するソニーにとって幸先の悪い結果になってしまいました。
これじゃ企業の将来性が不安になってきたよ!
しかし、ソニーは米大手メディアの「パラマウント・グローバル」に対して260億ドル、日本円でおよそ4兆円で買収を提案したと米複数メディアから報じられました。
このようなことから、インドから撤退で海外での事業の勢いを落とすのではなく、より一層国外でのビジネスの展開を続ける勢いがわかります。
今後の動向に注目だワン!
ソニーフィナンシャルグループ(SFGI)のスピンオフ上場
2024年の2月に、ソニーグループが完全子会社で金融事業を担うソニーフィナンシャルグループをスピンオフ上場させることが発表しました。
この金融子会社を分社化することで、エンタメ、イメージセンサー事業を集中することができます。
これは、ソニーの長期計画の「エンタメ事業に特化する」ことを反映した決定であり、計画実現に向けて積極的に動いていることわかります。
スピンオフは企業が特定の部門を分離して新会社として独立させることだよ!
2024年10月に株式分割
さらにソニーは2024年5月14日に、9月30時点の株主に1対5の株式分割を実施すると発表しました。
株式分割ってなんだっけ?
株式分割とは、資本金を変えないで現在の1株を細かく分割することです。
例えば、ソニーの株価が10,000円だったとしましょう。
今回は、株式を5分割することになるので、「10,000円(1株)÷5=2,000円(1株)」という計算になります。
株価を分割したらどんなことが起こるの?
株式分割を行うことで、企業は投資家層の拡大が見込まれて、より多くの投資家から資金を集めることが可能になります。
上の例から考えると、最低投資額が5分の1に引き下げられた事で、ソニーへの投資のハードルが大きく下がったといえます。
株式は100株から購入できるから、最低金額が100万円から20万円に引き下げられるワン!
【まとめ】ソニーの株価は上昇予想!ただし判断は慎重に
ここまで、ソニーの株価の10年後の予想について、解説してきました。
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
🔰いろはにまとめ
- ソニーは10年後、エンタメ事業を全世界で拡大させる中期計画を立てている。
- 競合他社に比べても、業績や経営指標が良い!
- 中期計画の実現のために、事業整理や資金調達を積極的に動いている!
- 海外への事業は若干不安感が残る…。
やっぱりソニーはすごいね!
インドでの事業が中止になったことがネックになったとしても、ソニーの資金力を考えると、やはりソニーの今後は明るいものになるのではないかと考えられます。
特にアーティスト部門では、音楽ユニットの「YOASOBI」が世界中で人気な点を考慮すると、ソニーの世界での成功は実現性があると分かりますね。
とはいえ、10年後の企業の姿を完全に予想することはできないため、投資には慎重な判断が必要でしょう。
この他にも注目の個別株について、編集部目線で解説しているので、ぜひ一緒にご覧ください。
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