「株主優待の桐谷さん」と同じ生活をすることは可能なのか? 東証マネ部!
株主優待を活用した生活で注目を浴びている「株主優待の桐谷さん」こと、桐谷広人さん。「生活の全てを優待制度で賄っている」と噂に聞くが、果たして、そんなこと可能なの
提供元:しらべぇ
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3月中旬に行われたこちらのイベント。本番30分前には、300人以上ものお客さんで会場は満員に。
こんなに「隠れキリタニスト」がいるなんて驚きです。
いつものリュックを背負い、目にも見えぬ速さで登壇される桐谷さん。
そこからノンストップでお話がスタートします!
「1億円儲けて、1億円損した」
株式投資をして34年になるという桐谷さん。最初に「優待生活をするようになったきっかけ」を語ります。
桐谷さん:
元々、棋士として活動していまして。プロの棋士というのは、対局して賞金をいただいたりしているのですけれど、週に1日ぐらいしか対局がなく、暇も多くてですねぇ。
空いた時間には、原稿を書いたり講師として将棋のレッスンを行い、生活しておりました。
29歳の時、証券会社の団体に講師として教えに行くことになりましたが、当時『投資はギャンブル』という概念がありましたから、将棋を教えた後は投資のお話はお付き合いでも関わらず、すぐ帰っていたんです。
ところが、時々、女性従業員の方々が親切にお茶を運んでくださることがありまして。
その女性達に、なにか良いカッコをしたいなぁ…と思うようになりましてねぇ。
売っていたものが株だったので、株を買ったということです(笑)
そんなご縁で投資を始めましたが、真面目に研究を重ねまして、最初に商社の株を20数万円分購入したら1ヶ月しないうちに5万円ほど儲かりました。
時代の追い風もあり、次第に夕刊紙に『株で1億円儲けた男』として名前が載るまでになりました。有頂天になりましたねぇ。
『信用取引』すればもっと儲かると思うようになり大量に買ったところ、バブルが崩壊して大損することになったんですけれども…
優待制度に救われた
その後もリーマンショックなどの煽りを受けながら投資と関わるうち、徐々に生活が「優待制度」によって変化していったんだそう。
桐谷さん:
毎月13万円の家賃を支払わなければならなかったので、値下がりしている株を損して売ったりしていましたが、生活が苦しい時もありました。
そんな時期、ほとんど現金を使わず優待品を利用して生活してみましたら、数年のうちになんとか持ち直しましてね。
優待制度が大変役に立ったので『あぁ、いいものだなぁ』と思いました。
具体的に優待とはどのようなものかと言いますと、上場企業の株主になった際に『その会社に関係するものや、全く関係のないもの(お米やクオカードなど)を企業側がくれるシステム』なんです。
『配当金』は、その株を多く持っている人に沢山のお金がいきますが、多くの『株主優待』は、持っている株の多い少ないにかかわらず1単位(100株)持っていれば、大体同じ優待がいただけます。
ですから優待制度は、『小額の資金で株を購入する投資家』にとっても有利なんですよ。ちなみにこの制度は、明治時代に始まった日本特有の制度です。
ほぅ…。私の中で漠然としていた「株主優待」について、少しずつ理解していきました。
それにしても桐谷さんの持っている情報量の多さ・知識に、冒頭から驚きを隠せません。
下着から育毛剤まで、まるっと優待
桐谷さんは、本日のファッションについても『下着や育毛剤に至るまで優待品でまかなっております』と宣言。会場からは、驚きの声が溢れます。
桐谷さん:
いま履いている靴下は『タビオ』という企業のもので、現在1株1,100円位なんですけれども、配当金と優待合わせて、利回りが4%位ありますね。
ここの株主になりますと1,500円の優待券をくれますので、その優待券を利用すれば安い靴下で3足位いただけます。
配当金と優待券を合わせて4%以上のものが、利回りの良い優待株の基準だと思いますねぇ。
その後は、いくつかの株価チャートに沿って、どんな企業がどんな優待を出しているのか教えてくれました。
面白かったのが、 『 ヴィレッジヴァンガード』という会社。
以前、桐谷さんの出演する番組が、ロケで高円寺の『ヴィレッジヴァンガード』を取り扱ったところ、『利回りの良い株だ』と考えた視聴者による買い注文が殺到し、株価がボンッと上がったんだそう。
当時12万円代だった株価は、放送直後に24万円まで上がり、桐谷さんがその後に同店に行ったところ「桐谷さんのおかげで株価が2倍になりました」と、感謝の張り紙がしてあったんだとか。
株はバーゲンセールで買うべし!
でも、株って、そもそもどんな時に買えばいいの…?
桐谷さん:
「安い時に買って長く持つのが、良い優待をいただくコツです。株は、バーゲンの時が『買い』なんです。
百貨店のバーゲンでは皆さん物を奪い合っているのに、『株のバーゲン』の時は誰も買いに行かない。もったいない話ですねぇ。
時折訪れる暴落は、株の投げ売りセールだと思えばいいんです。株も洋服も、せっかく安くなっているのなら、その時が『買い』です。
安く買った株が、いつかは『金の卵』に化けるかもしれませんからね。
とはいえ、もちろん買う時は、データなどを確認することも重要ですよ。
予算に応じて使える裏ワザ
でも、株に慣れない人が株を買ってしまったら、1日中、株式市場の動きを見ていないと損してしまうのでは?
仕事で忙しいと、そんなこと出来ませんよね。そんな疑問に対して桐谷さんは
桐谷さん:
指値(さしね)というシステムがあります。『100株で5万円は高いけれど、4万円になったら買う』という設定を事前にしておき、インターネットを通じて購入を委託できるものです。
逆に暴騰したとき、その株を持っている人は『株価が6万円になったら売りに出す』という設定にしていると、6万円になったら証券会社が自動的に売ってくれるんですね。
そういう制度を利用してもいいと思います。私の場合は昼間忙しくてパソコンをみている時間がないんですけれども、さまざまな企業で指値の設定をしているので、自動的に『安ければ買い、高ければ売る』ということが出来るわけです。
そのようにすればわりと儲かるんですけれども、皆さん『安くなったら売って、人気が出て高くなったら買う』というケースをやっている人が多いんです。
専門家の方々にも、『株が安いときには損切りが大事だ』という人がいるんですが…。
私は損切りせず『下がっても我慢』して転機が訪れるのを待つことも、状況によっては重要だと思います。
優待制度の注意点
講演の途中、「優待券専用財布」に詰まったぎっしりの優待券を見せてくれる桐谷さん。
桐谷さん:
私も未だに『会社四季報』とか、キャッシュフローがどうだとか『一株利益』がどうだとか、全てはよく理解できないんです。
ただ、良い優待をやっていれば、個人投資家を大事にしてくれている企業だということが分かるので、利回りが良ければ買うようにしています。
それでも、中には『経営状況が悪化し、このままだと上場廃止になりそうなので株主をつなぎとめるため優待を出してくる企業』もあります。
こういうのは一時的なものでいずれ潰れてしまうので、気をつけたほうがいいです。苦し紛れに良い優待を出して、しばらくしたら優待を下げるケースがあるので、注意をする必要があります。
若い人は「ちょっとずつ」攻めよ!
あまり貯金の無い20代の人達は、どうでしょうか。
一体いくら用意すれば優待生活を迎える準備が出来るのか、わかりませんよね。それについて桐谷さんは
桐谷さん:
若い方であまりお金がない人は、5万円〜10万円でも、すぐ使わないお金があればネット証券で口座を作って、とりあえず優待株を持ってみるのがいいと思います。
5万円以下の優待株でも、利回りがいいものも沢山あります。たとえば『日本ギア工業』という会社は現在は4万円代なんですけれども、1,000円のクオカードが年に2回くるんです。
ここの株主になりますと、クオカードが使える大手コンビニで買い物した場合に、年間2千円の節約にもなります。
『ちりも積もれば山となる』で、少しずつ生活に余裕ができればお金が貯まり、数万円の貯蓄ができたら投資をして…と繰り返すうち、私くらいの年齢になると優待で生活していくこともできるわけです。
まずは、少しずつ優待株を買ってみてください。20万円くらい自由になるお金があれば、更に良いですね。
5銘柄くらい優待株が買えるので、そうすると、どこか1社が優待を止めてしまったり株価が急激に下がっても、ほかの1社は倍額まで値上がりするかもしれません。
そういう意味でバランスがとれるので、『分散投資』がいいと思います。
優待は日本の経済にも良い影響が
なるほど…。たった1時間なのにめっちゃ勉強になったぞ。
最後に桐谷さんから、参加者へのメッセージが。
桐谷さん:
『応援したくなる会社』の株主になり、良い企業に分散投資すると、会社側は私たちが預けたお金を使って、新しい取り組みに挑戦していくことが出来ますよね。
せっかく良いアイディアを持っていても、注目されていない企業はたくさんあります。そのような会社に投資することは、日本経済のためにもなるんです。
ぜひ、皆さんも優待のことを調べて、『良い優待を出している企業は個人投資家を大切にしている』という点を重視し、優待品をいただいて下さい。
私も、4〜5年前『月曜から夜ふかし』に出演した際は、『優待だけで生活が成り立つわけがない』と、沢山の人に言われましたけれども、きちんと優待で生活をしております。
使い切れない分は友達とお茶を飲んだりコミュニケーションに使っていただき、優待を利用して友達の輪を広げていけば良いと思います。
当初は「桐谷さんだからこそ上手くいっているのでは…」と思っていましたが、受講後は私も「ちょっと楽しい優待生活」が出来るような気がしてきました。
※本記事は、株式投資および株主優待一般に関する情報の提供を目的として作成したものであり、特定の株主優待への勧誘を目的としたものではありません。 ※記載内容に関しては取材時(2018年3月11日)の状況によるものであり、優待が貰える条件に関しては株式購入時に確認する必要があります。また「株主優待制度」は企業の任意で実施しているものです。
(取材・文/しらべぇ編集部・大木 亜希子)
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